100年先の未来に向けて、世界に誇れる日本酒――「米ぬか」をアップサイクルして新たな日本酒へ
当時、まだ珍しかった「サブスク」で日本酒を売り始めた生駒さん。日本各地の選りすぐりの日本酒が、毎月3000円~5000円で届くというサブスクがヒットし、2013年、株式会社Clearを設立。2018年には、ブランド「SAKE HUNDRED」を創業します。「SAKE HUNDRED」のフラッグシップとして造られたのが『百光』です。「100年先まで光照らすように」という想いが込められています。 シャンパンのようなお洒落な瓶で、ラベルは「百光」以外、全て横文字です。価格は3万8500円……。入手困難な日本酒として知られており、今年一万本を抽選で販売しましたが、7万人の応募が殺到して、“2024年醸造分”は、完売になっています。まさにラグジュアリー日本酒の分野を開拓した銘柄です。 「どんなに高いお酒でも、飲んだら空き瓶しか残らないと言う人がいますが、僕はそう思いません。大切なイベントやお祝い事に飲んだ『百光』は、いつまでも最高の思い出として残るはずです。晩酌で飲んでいる日本酒が“日常”の酒ならば、『百光』は“非日常”の酒だと思っています」 さて、ここから“アップサイクル”のお話です。 『百光』の原料米は、無農薬の有機栽培なので品質も最高級。このお米を200時間以上かけて徹底的に磨きあげます。精米歩合は18%、原料米の多くが「米ぬか」として排出されます。ビタミンやミネラルなど栄養価が高い「米ぬか」は、家畜の飼料や、お煎餅や米油、漬物などにリサイクルされるですが、『百光』から生まれる上質の「米ぬか」を、どうにか日本酒造りに生かせないものかと、生駒さんはずっと考えていました。 「米ぬかは風味を損なうため、積極的に醸造で使われることはなかったんです。それでもサステナブルな時代だからこそ、米ぬかを使って地域環境への貢献をしたかったんです。これまで見向きもされなかった米ぬかを価値のあるものとして、その可能性や魅力をもっと広めたい。日本酒で成功させて、他業種にもPRしたかったんです」