トランプ氏「対中関税を60%に」“米中貿易戦争”再び? 中国の「2025年問題」
中国では国内消費が伸び悩み経済の低迷が続くなか、再来週にはトランプ氏がアメリカ大統領に就任する。米中対立の激化が予想されていることから中国の“2025年問題”とも言われている。 【画像】習政権の対抗策は?
■どう対応?習政権の戦略
20日に大統領に就任するトランプ氏は、選挙中から中国からの輸入品に一律60%の関税をかけると宣言している。また、そんなトランプ氏は対中強硬派として知られる共和党のマルコ・ルビオ上院議員を国務長官に指名した。 トランプ氏は実際に1期目ではどのような動きをしたかをみると、2018年7月~9月にかけては、自動車やロボット、半導体、家具・家電など多種多様な中国製品に追加関税を発動した。 2019年の内閣府の発表でも、米中の貿易摩擦によってアメリカの輸入に占める中国のシェアが低下し、当時は今のような不況ではなかった中国経済でもGDP成長率は6.2%にまで下がった。こうした“貿易戦争”ともいえる状況が今再び起きると、中国経済にはどの程度のダメージがあるのか? ロイター通信によると、トランプ氏の言う通りに対中関税を60%に引き上げた場合は中国のGDP成長率は2.5ポイント押し下げられ、成長率は実質的に半減することになるという。 トランプ氏がすでに言及している具体的な追加関税をみていく。 去年11月にトランプ氏は、アメリカに密輸される麻薬性鎮痛剤(フェンタニル)の取り締まりが十分でないとして、メキシコとカナダへの関税を25%に引き上げる考えを示している。 こうした発言を中国はどう見ているのか。東京大学大学院・阿古智子教授によると、「中国政府は楽観していない。トランプ氏は本当に60%まで引き上げるかもと戦々恐々としている」という。 トランプ氏の関税戦略に対して、中国は報復できるよう準備を進めているという。 中国は先月1日に「輸出入関税条例」を「関税法」に格上げし、国際条約や貿易協定に反して関税を引き上げた場合は報復関税を課せると規定した。2021年には、外国の対中制裁に対して入国禁止や資産凍結という措置を取れる「反外国制裁法」が策定された。これらを使って報復する可能性が指摘されている。