大阪桐蔭OBはなぜプロで活躍するのか?
1年先輩にあたる阪神の藤浪晋太郎(20)とバッテリーを組み甲子園での春夏制覇を果たしている森は、2013年のドラフト1位。森は中田の6年後輩になるが、フルスイング、そして練習で振り込む姿勢は、伝承されていったようである。そういえば、以前、大阪桐蔭の西谷監督も、「プロで成功している選手が多いのは、いろんな意味での伝承にあるのではないか」というような話をされていた。 森に関して言えば、中田と同期の岡田雅利(25)が大阪ガスを経て、一緒に入団するなどチームに先輩も同期入団の先輩もいることで、大阪桐蔭の輪がチームとプロの世界に溶け込みやすい環境を作ってくれているのも間違いない。一人大物のOBがプロで結果を出すと、プラスの連鎖が生まれていくのも確かだ。 「森も、身体は大きくありませんが、強く振るための体力は持っています。中村さんもそう。僕も減量してだいぶ体重は減りましたが、強く振るための肉体はありますよね。振り込んで、そういう土台を高校時代から作ってきたんだと思います」とは中田の談。 大阪桐蔭は、全寮制。生活から管理され、食事やトレーニングなどの肉体作りにも万全の体制が敷かれている。金属バットではなく、あえて練習で木のバットを使うこともあって金属バットに慣れた高校出のバッターが、木への対応に戸惑うこともない。また猛練習を強制するわけではなく、紅白やシートなどの実戦方式の練習を必ず取り入れているのも特徴。選手には、練習ノートを提出させ、書くことで、自分で考える力や、主体性を身につけさせることに重点を置いている。 おかわり君の時代から、西谷監督は、怪物と呼ばれる逸材を、決して何かの型にはめようとすることはなく、自分で考え、自分からやるように仕向けていた。大阪桐蔭OBに共通するフルスイングの原点には、強靭な肉体と、バットを振り込む努力、そして自分で考える力が、どうも大きな影響を与えていそうである。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)