補償進むも「説明不十分」の声。紅こうじサプリ健康被害 「半導体景気」夢いずこ。宮城で計画の台湾企業工場白紙に
新しい年が始まった。2024年に大きくメディアに取り上げられたものや地域での関心が特に高かったもののいくつかは、今年も話題が続きそうだ。昨年起きたさまざまなニュースの「その後」を追った。今回振り返るのは(1)小林製薬の紅こうじサプリ問題(2)宮城で計画されたものの白紙になった台湾企業工場建設。(共同通信=(1)安部日向子、稲垣ひより(2)住友亮介) 【写真】一戸建てに引っ越すと、家族全員の体調がなぜか急に悪化 原因は地中深くのコンクリ詰めの中に…
▽サプリメントで健康被害。死亡事例に関連か 紅こうじを使ったサプリメントで健康被害が出ていると、小林製薬(大阪市)が2024年3月、公表した。摂取との関連が疑われる死亡事例も次々と明らかになり、厚生労働省によると、死亡疑いの調査対象は120人以上。異例の被害に同社の補償受け付けが進むが、サプリを常飲していた消費者からは「当事者への説明が不十分だ」と疑問の声が上がる。 「原因物質の特定に取り組んでいた。一番大事なのは因果関係だ」。小林章浩(こばやし・あきひろ)社長=当時=は2024年3月の会見でこう強弁した。同社は1月に医師からの連絡で健康被害を把握していたが、対応の遅さが批判された。 ▽半年使用、頻尿や倦怠感 約半年間、サプリを飲んでいた兵庫県姫路市の会社員内藤隆一(ないとう・りゅういち)さん(61)は2月、体調が悪くなり、頻尿や起き上がるのも苦しい倦怠感に襲われた。耐えかねて病院に行ったが原因不明で、不安が募った。インターネットで小林製薬の記者会見を知り、医師の指示で1カ月ほどサプリを断つと症状は改善し、数値も正常に戻った。小林製薬から診察費が支払われ、商品代は返金された。
小林製薬は8月、紅こうじ事業からの撤退を発表。翌月には厚労省が健康被害の原因物質を、腎臓に悪影響を及ぼす青カビ由来の「プベルル酸」と特定した。 プベルル酸は小林製薬の紅こうじサプリには本来含まれないが、健康被害のあったロットの分析で検出された。厚生労働省は腎毒性を確認。サプリ原料の製造工場で紅こうじを培養する際に青カビが混入し、産生されたとしている。 ▽当初から対応に違和感 しかし、小林製薬から内藤さんには、いまだに文書でも口頭でも直接説明はない。「当初から対応に違和感があった。手紙が届くが補償についてだけだ」と振り返る。 11月には、小林製薬から追加の診察費補償についての電話が数カ月ぶりにかかってきた。「対応はゆっくりだが、進んでいる。すでに日常に戻りつつあるが、あの時の苦しさからサプリはもうやめた」 大阪市は健康被害が食中毒に当たると判断し、被害規模の特定や汚染経路などの調査結果を2025年3月ごろ、取りまとめる方針だ。 × × ×