高2で突然脳出血で倒れ、言葉を失った少年 現在20歳の青年が、家族と協力し歩けるようになるまで
座るリハビリから始め…
倒れて4日目に目を開けたものの、意識はなく視点が宙を舞っている状態が2ヶ月ほど続きました。その間は、リクライニング式の車椅子に座り、重力に逆らわせるだけのリハビリから、2~3人で支えながら無理やり立たせたりしていたとのこと。 地道に歩く練習を重ね、今ではフラットな場所であれば、安定した杖歩行が可能なまでに。「今年の目標として、家の中と支援学校での脱車椅子を掲げています」と話すお父さん。 次にタンデム自転車によるリハビリです。発症から1年9ヶ月後、イベントでタンデム自転車に乗ったとき、陸さんとタンデム自転車で、しまなみ海道サイクリングロードを70km縦走するという目標を掲げたお父さん。 自宅のエアロバイクでリハビリを重ね、昨年9月、一泊二日の行程でしまなみ海道縦走を達成しました。「タンデム自転車は重量もあり、陸は手足を固定していることから転倒時のリスクが大きく、重度の片麻痺での挑戦としては、あまり類例がないかもしれません。陸にとっても大きな自信に繋がった出来事でした」 食べるリハビリについては「植物状態のように意識障害が重かった間は、唾液を呑み込むことも、口を動かすこともできなかったです。顎回りの筋肉をほぐしたり、ガーゼで包んだグミを噛ませて唾液を呑ませたりする練習をしました。発症から3ヶ月後、はじめてヨーグルトを食べることができました。今では、食べるのに時間がかかりますが、普通の食事がとれています」 高次脳機能障害・失語症のリハビリについては、発症3ヶ月頃から脳機能のベースとなる注意障害の改善を図るための簡単な脳トレから始まりました。積み木で図示された形を作ったり、8ピースほどの幼児向けパズル、簡単な迷路などを行いました。 失語症に関しては、物の名前を忘れていたため、イラストが描かれたカードを見ながら名前を答える練習や、ひらがなを覚える練習をしました。 現在はスマホのフリック入力でひらがなを打ち、文章を作ることができるまでに。ことあるごとにメモに出来事を打ち込んで記録を残し、毎晩それをノートに書き写すなど日記をつけることで文字の訓練をしているそう。また、Instagramのストーリーも自分であげているのだとか。