ゲーム市場は世界30兆円、国内1.9兆円に拡大 海外進出が成長の鍵【TGS2024】
2024年9月26~29日に開催される東京ゲームショウ2024。初日には開幕式が行われた。出展者数、ブース数ともにこれまでで最大規模となり、特に海外からの出展は年々増加している。開幕式では、コンピュータエンターテインメント協会の辻本春弘会長ほかが登壇し、ゲーム・コンテンツ市場の拡大と海外進出が日本経済の鍵を握っていることを語った。 【関連画像】CESA会長でイベント委員会委員長の辻本春弘氏 コンピュータエンターテインメント協会(CESA)会長でイベント委員会委員長の辻本春弘氏は、「東京ゲームショウは、ゲーム産業の成長をビジネス・一般ユーザーに向けて披露する場。日本のゲーム産業への注目は高まっており、世界へ広がる可能性を実感できる」と語った。 壇上で辻本氏は、国内外のゲーム市場について、経済規模、技術、雇用などを取りまとめた「CESAゲーム産業レポート2024」を発表した。それによると、世界のゲームコンテンツ市場規模は2022年の26.9兆円から23年は29.5兆円に拡大。グローバル比では日本、中国、韓国がけん引する東アジアが42%でゲーム市場拡大をリードしている。日本国内の23年ゲームコンテンツ市場規模は、22年から2%拡大した1.9兆円になった。 辻本氏は「今後の成長戦略として、海外進出が非常に重要。PCプラットフォームで遊ぶユーザーが増え、周辺機器の需要も拡大している。ゲーム産業や雇用にまつわるデータによって、さらに多くの注目が集まるようになる。ビジネスの側面だけでなく、賃金や成長性からも、ゲーム産業は夢のある産業であることが伝われば、この産業に参加する若者が増え、ひいては日本産業の柱の1つとして成長する」と語った。 そのほかの登壇者も、東京ゲームショウ2024が過去最大規模になったことに触れ、ゲーム産業が日本経済の柱の1つとなることや、そのためには海外進出が重要であること、海外で日本発のコンテンツに慣れ親しむ人が増えることが日本文化の理解につながり、国益をもたらすことなどに言及した。 日経BP社長CEO(最高経営責任者) 井口哲也氏は、「出展企業は985社に増えた。失われた30年と言われる日本において、異例の右肩上がりのイベント」と述べた。海外からの参加者と国内関係者の交流のためのパーティーも開催する。 電通 執行役員の内田丈晴氏は、「24年の東京ゲームショウのテーマは“ゲームで世界に先駆けろ。”ゲーム業界はイノベーションの最先端にあり、AR(人工知能)やVR(仮想現実)に生成AI、触覚デバイスなど新たなテクノロジーが次々と生まれている。世界に向けて、各社のブランド体験の場としての価値を広げたい」と意欲を述べた。 経済産業省 商務・サービスグループ政策統括調整官の江澤正名氏は、「ゲームを始め、アニメ、漫画、音楽といったコンテンツは日本が誇る大きな資産。新たなクールジャパン戦略において、コンテンツ産業は日本の基幹産業と位置づけている。国際競争力を強化を図って養っていきたい。世界にいかに売っていけるかが、今後のエンタメ産業の基礎になる」と話した。 松竹会長でJAPAN国際コンテンツフェスティバル 実行委員長の迫本淳一氏は、「コンテンツ産業はこの10年で大変な発展を遂げた。米国の映画を世界中の人が見ることで、米国に暮らす人たちが大きな恩恵を得ているように、日本のコンテンツが世界に出て行くことで、日本にどれほどの利益がもたらされるか。コンテンツの中でも、ゲームはまさに世界に発信できる業界だ」と、世界に発信できる産業としての期待を述べた。 (文/湯浅 英夫、写真/木村 輝) なお、日経クロストレンドでは「東京ゲームショウ2024特設サイト」を公開中です。ぜひ、ご覧ください。 ・日経クロストレンド「東京ゲームショウ2024特設サイト」 https://xtrend.nikkei.com/sp/tgs/
湯浅 英夫