不動産会社の女性経営者が教える! プロが「購入より賃貸物件」をすすめるケースとは
将来どんなマイホームに住むか決めていますか? 賃貸に住むか、思いきって購入するか、どうすべきか分からない人も多いのではないでしょうか。今回は、女性に特化した不動産会社を経営する 平出雅美さんに「賃貸物件に住むメリット、デメリット 」をテーマにお話を伺いました。 【保存版】購入と賃貸、どちらがオススメ? 「賃貸物件のメリットとデメリットの一覧」はコチラ。
不動産会社の女性経営者が教える! プロだからこそわかる「賃貸物件のメリット、デメリット」
【女性が知っておくべき「賃貸物件」基本のき】vol.68 ――物件を購入するのではなく、賃貸に住む"メリット"を教えてください! メリット1.「気軽に引っ越しができる」 平出さん 賃貸物件の場合、転職や転勤、二人暮らし、結婚、出産など状況や環境が変わっても気軽に引っ越しができる点は最大のメリットだと思います。特に20代、30代は仕事や住みたい場所、収入、生活スタイルが大きく変化する時期ですので、人生のステージが変わっても、その時々の自分に合う物件に住み替えやすいことは賃貸物件ならではの魅力です。 メリット2.「メンテナンス費用がかからない」 平出さん 賃貸物件の場合、室内の設備が故障しても過失でない限りオーナーが費用を負担するのでメンテナンス費用はかかりません。ですが、購入となると自分で負担する必要があります。また、購入した場合は、同じ家に住み続ける限り、設備は古くなっていきますが、賃貸物件に住んでいれば、最新の設備が整った物件に引っ越しやすいというメリットも。 メリット3.「住宅ローンの負担、固定資産税がかからない」 平出さん 賃貸物件であれば、もし収入が減少してしまったら賃料の安い物件に引っ越すことで対策ができますが、物件を購入して住宅ローンを支払う場合は、収入に関係なく返済し続けなければなりません。購入した物件となると支出を変えることができないため、負担になる可能性があります。また購入の場合は固定資産税がかかりますが、賃貸であれば住居にかかわる税金もかかりません。 ――反対に、賃貸物件に住む"デメリット"があれば教えてください! デメリット1.「資産にならない」 平出さん 賃貸物件は借りているものなので、自分の資産にはなりません。購入した物件であれば住宅ローンを完済すれば自分の資産になりますし、ローンの返済中でも他の人に貸して賃料を得ることも可能です。賃貸物件の毎月の賃料は、"後には残らない支出するだけのお金"というところは大きな違いだと思います。また、持ち家があると担保にしてお金を借りることができたり、生命保険の幅が広がることも。持ち家の場合、住宅ローンを完済してしまえば家賃を支払う必要がなく、将来住む場所に困らないという安心感も得られます。 デメリット2.「リフォームや改装ができない」 平出さん 賃貸物件は基本的には内装や設備を変えることができませんので、部屋に不満があっても新しい物件に引っ越す選択肢しかないため、引っ越しをする度に初期費用や引っ越し会社に払うお金が必要になってしまいます。ですが物件を購入する場合は、好みの内装や設備を自由に変えることができるので、自分らしい満足のいく部屋に改装することが可能です。 デメリット3.「ファミリー向けの物件が少ない」 平出さん 賃貸物件は、単身者用に比べてファミリー向けの物件が少ないです。3LDKや4LDKになると、1LDKや2LDKに比べてかなり物件数が少なくなりますので、選択肢が少なくなるデメリットがあります。そのため、結婚や出産を機に、家を購入する人は多いです。 ――実際にお客様のお話で、購入ではなく賃貸物件を選ぶ理由として多く挙がるのはどのようなことでしょうか? 平出さん 最も多いのは、転職や結婚などでライフスタイルが変わる可能性があるから賃貸を選んでいるというケース。ひとり暮らしのうちは賃貸で、もし結婚や出産をしたら分譲マンションに住みたいと話すお客様は多いです。賃貸物件は家賃を払い続けることがもったいないと思う人もいますが、購入すると気軽に移動できなくなることを天秤にかけると賃貸物件を選ばれますね。収入が上がったらもっと広い部屋に引っ越したい、収入が減ったときに今のマンションに住み続けられるか不安という理由から、そのときの収入に応じて住む場所を変えたいと賃貸物件を選ぶ人もいます。せっかくマンションを購入したものの、近隣トラブルに巻き込まれて売却したお客様もいました。物件は住んでみないと分からないリスクは、少なからずあると思います。 ――賃貸物件に住むのに向いていない人はどんな人ですか? 平出さん 今後も勤務地が変わらない、または自宅でお仕事をされているのであれば物件の購入はありだと思います。家の内装を自分好みにしたい、DIYやリフォームをしたい人も賃貸物件ですとできることに限りがあるため、購入したほうが満足度が上がる可能性は大きいです。賃貸物件だと基本的に借りた状態に戻す原状回復義務があるため、壁に穴をあけたり、壁紙を張り替えたり、ペンキを塗ったりすることは難しいことは知っておいてください。また、大型犬を飼っていたり、ペットを複数飼いたいという人も、選べる物件が限られるため賃貸物件ですと探すこと自体が難しくなってしまいます。 ――平出さん自身は、賃貸と購入、どちら派ですか? 平出さん 私は賃貸派です。引っ越し自体が好きで、環境を変えることや新しい物件に出会うことにもワクワクするので、おそらく今後も賃貸物件に住むと思います。家を購入するならずっと住んでいたい環境かどうかかも重要だと思うのですが、"ここにずっと住み続けたい!"という場所がまだ見つかっていないということも理由です。ただ、物件を買いたい気持ちはあり、26歳のときに初めて不動産を購入しました。私自身、不動産業に携わっていることもあり、購入した物件を貸し出して、自分も賃貸物件に住むというカタチがベストかなと考えています。 快適なひとり暮らしを始めるために知っておこう 物件探しは賢く丁寧に。引っ越しを検討している人は、今回のポイントをぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。 教えてくれた人 株式会社東京女性不動産 代表取締役社長 平出雅美さん 宅地建物取引士所持。不動産歴3年目、2021年11月に「東京女性不動産」を開業。 東京女性不動産は、安心してお部屋探しができることを第一に、相談から契約まですべて女性スタッフが担当。女性一人での東京のお部屋探しを、女性ならではの視点で親身にサポートしています。LINEでの相談もできます。安心して新生活を始められるように、ストーカー保険の提案やRefaプレゼントなどのサービスもあって、さすが女性にやさしい! 電子書籍「宅建の教科書」がKindleにて好評発売中。 文・市岡彩香 anan web、anan Beauty+を中心に執筆するフリーライター。これまでに取材した人数はタレントや経営者を含め500名以上。インタビューライター、フードライターとして活動中。 ©Spectrum/Adobe