出産後、集中治療室にいた赤ちゃんが急変…母「無理…」 看護師が見た光景を漫画化する理由とは
コメント内で看護師と一般の方の会話が生まれることも…
運営者はInstagramでの漫画発信について「看護師という仕事がいかに難しい仕事であるのかと同時に、いかにやりがいがあり、価値提供の大きい仕事であるのかがよくわかる“漫画群”になっていると思う」といいます。 実際にInstagramのコメントには、看護学生、看護師はもちろん、20~30代の方々を中心に一般の方から多くの声が寄せられています。それには「とても共感した」「もし自分だったら…と考えさせられた」といった長文のコメントも多く、また漫画をきっかけにしてコメント内で看護師と一般の方の会話が生まれることも。 運営者が個人的に特に印象に残っているのは「娘が看護学生なのですが、看護師になると決めた娘を誇らしく思う」という内容のコメント。 「これから職業選択をしていく世代の方々にも、ナース専科の漫画が届くと嬉しいな…と思っています」と話していました。
漫画『新生児Mちゃんのお看取り』
ここで一番反響のあった漫画『新生児Mちゃんのお看取り』を紹介します。 Mちゃんは出生前から染色体異常が判明しており、心臓の疾患による合併症が出ていました。 そのMちゃんの担当看護師になった、入職3年目の若い看護師。 1歳まで生きるのは難しいと言われていたMちゃん。それはご両親にも説明され、帝王切開での出産後、Mちゃんは1,000グラムに満たない体重でしたが、NICU(新生児集中治療室) で少しずつ大きくなっていきました。 両親と成長を喜んでいた看護師でしたが…。その後、Mちゃんの状態が悪化してしまいます。 看護師は母親に連絡をいれ、Mちゃんが危険な状態を知らせ、病院へ来てもらうよう伝えました。 しかし、Mちゃんの母親はNICUの扉の前までは来ることができたのですが…。なかなか病室に入ってきません。 「やっぱり無理…」「行けない!」となってしまう母親に「そ、そうですよね…怖いですよね…」としか声をかけられない看護師。 そこへ様子を見ていた先輩看護師が現れ「Mちゃんを抱っこしてあげよう」「一人じゃないよって伝えてあげよう」と母親に寄り添います。 その後、Mちゃんを腕の中でお看取りすることができた両親…。 Mちゃんは、苦しそうな呼吸からだんだん安らかになり、安心したような表情で母親の腕の中で天国へと旅立ちました。 とっさに母親にかける言葉がみつからなかった看護師が「看護師に大切なのは、技術的なスキルだけじゃない」と確認したエピソードです。 この漫画を制作したときのことを聞いてみました。 「制作したのは2年ほど前ですが、今読み返しても涙が出てしまいます。『私もまったく同じ様な経験をしました。お母さんと自分が被って見えました。あのときお世話になった先生や看護師さん達のことは一生忘れません』『なかなかこんな対応できない。いろいろな経験を積んでいるからこそできる声かけ…先輩すごいなぁ』このようなコメントもいただき、多くの方に読んでいただきました。看護師という仕事は、何ともしがたいつらい状況に直面することも多いと思います。“看護”とは何か、そんなことを感じられるような話にできたのかな…と考えています」