PARCO劇場「東京輪舞」初日前会見&プレスコール レポート【髙木雄也さんコメントほぼ全文】
「髙木くんは芝居と普段をシームレスに行き来する稀有な俳優」(杉原)
――杉原さんに伺います。情報解禁の際に山本さんの日本語のセンスや独特の空気がこの作品には必要だと思ったとありましたが、実際に山本さんの書かれた台本を読んでどのように思われましたか? また出演者のお二人と稽古をなさって感じられたことなどをお願いいたします。 杉原 まず上がってきた台本を読んで、すごく刺激的で面白いなってと第一に感じました。シュニッツラーが書いた「輪舞」を元にしながら、きちんと卓卓くんなりの解釈というか、「輪舞」を踏襲しながら彼にしかできない愛とコミュニケーションの物語になっているなと思って、それがすごくいいなと思いました。 その時点で「ああ、お願いして良かった」って思えたので、すごく幸福な作業ができたなと思っています。稽古が始まってからも本当に稽古場によく来てくれたので、俳優と僕と4人で相談しながらセリフはこうじゃないか、ここはカットしてもいいんじゃないかとディスカッションしてこの作品を組み立てていた事のはすごくいい作業でした。 僕は結構古典の作品をやることが多くてシェイクスピアとかはみんな死んじゃってるんですけど、今回は生きた作家と作業ができたのでそれもすごく楽しかったです。 その台本をもとに二人と稽古してたんですけど、二人とも本当に飾り気がなくて、素直に稽古に来てくれる。髙木くんは本当にこのままなんです! 芝居をしていても稽古の最中でも、休憩中でも。お芝居と普段をシームレスに行き来できる稀有な存在だと思います。 くるみさんも思ってることを本当に素直に伝えてくれるので、今どこが悩んでいるのか、今どういう気持ちで役に挑もうとしているのか直に伝わってくる。二人と作業してやりにくいところがなかったので、稽古の初期の段階からこの二人でよかったなって素直に思いました。本当に今までいい稽古を重ねてこれました。(髙木さんはお辞儀)
本当は5役だった予定が8役に⁈
ーープレスコールでは、それぞれ二役演じている姿が披露されましたが髙木さんは8役、清水さんは6役演じられます。この作品ならではの難しいところ、お相手についてそれぞれ稽古で思われたことなどがあったら教えてください。 髙木 8役にチャレンジすることになって。もとは本当は5役だったんです。こんなこと言っちゃいけないんですけれど(笑)。で、5役でやっていくうちに8役になって……。 最初は経験がなかったので、どう変えればいいのかわからず、声を変えたらいいのかな?とかそういうふうに考えたんですけど。杉原さんから「そういうことは気にしないで、ちゃんと入り込んでいけばその役に声とかも近づいていくから」というのを結構初期の段階で言って頂いたので、そこはもう心配せず、自分が思うようにその人で生きてみて、やってみて、今に至ったって感じです。 今、大丈夫なのかわからないんですけど(笑)。でも8役と言っても、その中で(相手の)1役とか2役と接することがあるので、「8役だけどその倍の役がある」といういう感覚で、いまやっています。そこら辺がちょっと大変かなと思っています。 くるみちゃんはもう何でも言ってくれるので。「あそこいや!」とか(会場笑)。 清水 そういうことは言わなくていいですよ!(笑) 髙木 本当になんでも言ってくれるので。あと僕は本当にとりあえずその言葉でどうなるかとやっていくタイプなんですけど、くるみさんは考えてきてくれるので、その発した言葉をどう受け止めるかというのは、僕は稽古やっていて楽しかったです。 清水 一つの作品で何役かやったことの経験はあるんですけど6役をしっかり見せることはあんまりなかったので、切り替えがすごく難しいなあと思って。役をやってる時に一瞬違うキャラがでてきて(髙木さんうんうん、とうなづく)「自分今何やってるっけ」だとか、「あ、これ今自分が言う言いまわしだな」とか……。なんかそういうことがあるのですごく難しいなあと思いました。 あと8役と6役、二人しか出てないのになぜ役数に差があるんだろう?、何だろうと思ってる方も多いんじゃないかなと思いますが、そこも魅力だと思いますので、楽しみにしていただきたいです。 髙木さんはすごくフレンドリーな方で。私も基本的にあまり人見知りしない方なんですけど、(髙木さんが)すごくフレンドリーなので、逆にちょっと最初は人見知りをしちゃいました。(会場笑) お互いになんでも言える関係性だなと私は勝手に思っていて。コミュニケーションが取れるのはすごくいいし、あと人懐っこい方なので、ずっと喋っていらっしゃって(笑)。 髙木 え!(会場笑) 杉原 ずっと喋ってましたね(笑)。 清水 いろんな方とコミュニケーションを取ろうとして、現場の空気感を作って下さったので本当に感謝しています。 髙木 ありがとうございます。 ――山本さんと杉原さんに質問です。今まで色々な俳優さんと接していらっしゃる中で髙木さんと清水さんの俳優としての魅力や、すごいなって思ったところを伺えますか? 髙木 それ、ちょっと別でやってもらっていいですか?(会場笑) 山本 髙木さんはやればやるほど自分で発見していくというような、自分で「あ、今日の声の響きは昨日と違う」だとか、新鮮に感じながら、楽しみながら作業してらっしゃることに感動しました。見れば見るほど、髙木さんをもっと見たくなるというのが魅力です。 清水さんは「ここに行きたい」というポイントがきっとあるような気がして。そこに行くためにひたすら進むっていう。だから対照的。掘り下げるパターンと高め高めに行く、っていうそのコントラストはふたりの掛け合いの魅力です。 髙木 (照れながら)ありがとうございます。 杉原 くるみさんは本当に何事にも素直にぶつかっていくタイプの俳優さん。これは演出家にもそうだし、共演者にも作家にもそうだし。そこがすごく信頼できる。「この人は直接ぶつかってくれる人」というふうな信頼感を相手に与えてくれてるから、こっちもその場で思っていることを言える、それはすごく魅力だなと思います。 髙木くんは、こんな俳優見たことないです!(会場笑)こんな俳優出会ったことない。なんか普通に休憩中喋ってると、地元も近いから……。 髙木 そうなんですよね。 杉原 神奈川のね? 髙木 地元の友達だと思っています。(会場笑) 杉原 という感じなんだけど、そのままのテンションで芝居に入っていくからすごいなと思いましたね。年末にHey! Say! JUMPのライブを観に行ったんです。みんなちゃんとかっこよく歌って踊っているんですけど、ふとした瞬間に、ふらーっとそのままその辺歩いてるぞ、髙木くんすごっ!って(笑)。 ドームであの立ち方ができるなんて。あ、これなら大丈夫だと思いました。PARCO劇場のサイズだったら絶対に自然体で芝居をしてくれるなと思ったので。本当にこんな俳優に出会ったことないです。(髙木さん笑) 髙木 ありがとうございます……(ちょっと困惑した表情で)ん? ありがとうございます? 杉原 褒めてる、褒めてる! ――お二人からお褒めの言葉がたくさんありましたけど清水さんと髙木さんはいただき今のを聞いてどうでしょうか? 髙木 嬉しいです、本当に。自然体でいさせてくれたのがお二人なので。これでボコボコやられていたら多分関係が違いました(笑)。 清水 私は“なんで?なんで?星人”なので、なんでですか?とすごく聞いてしまったんです。それだけ読み応えのある本でしたし、演出だったので。でも多分年も結構近いお二方だったからってのもあったのかな、というのと、髙木さんが聞きやすい空気感を作ってくださったのかなと思います。 ――ありがとうございます。 髙木 (記者の方の口調を真似して高い声で)ありがとうございまーす。(会場笑)