小川颯太「不完全燃焼です」佐藤凛太郎「最初からアタックする気でした」TGM Grand PrixのマカオGP2日目
走行2日目を迎えた第71回マカオグランプリ。メインレースとなるFIAフォーミュラ・リージョナル・ワールドカップではこの日フリー走行2回目(FP2)と予選2回目(Q2)の2セッションの走行が行われた。 【写真】第71回マカオグランプリ 佐藤凛太郎(TGM Grand Prix) Q2はドライコンディションとなったが、TGM Grand Prixから参戦する小川颯太は19番手、佐藤凛太郎はクラッシュを喫し25番手となった。 日本勢で唯一、クラッシュに見舞われずにQ2を終えた2023年フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズチャンピオンシップ(FRJ)王者の小川だったが、走行2日目は「正直、不完全燃焼です」と、振り返った。 午前中のFP2をほとんど走ることができなかった小川。その理由はピットでステアリングシャフトと消化器の交換を行っていたためだ。富士でのシェイクダウンの段階からステアリングシャフトの長さに違和感を抱いていたということで、小川の好みの長さのステアリングシャフトに変えることになったが、その部品が届いたのは走行2日目の朝だった。 午後に控える予選Q2で違和感なく走れるようにということから、ウエットコンディションのFP2の時間を使ってでも交換作業を進めることを選択。幸いFP2セッション中にコースインが叶ったものの、残り時間は5分しかなく、計測ラップは1周しかできなかった。 そうして迎えたQ2だったが、7回の赤旗中断を挟む、クラッシュやアクシデントが続出し続けるセッションとなり、小川は満足にアタックに入ることが叶わなかった。 「Q2がドライになり、楽しみにしていたのですけど、7回の赤旗はさすがマカオですね。それにしても……40分間で7回は多すぎたかなと。ただ、そんなセッションでもタイムを出しているドライバーはいるので、自分の実力が足りなかったとも思います」 「とはいえ、1周の計測ラップに入ることも難しく、ようやくアタックできそうだと思ったら最終コーナー前でアタックを止めたドライバーがいて、引っかかったり。とにかくタイミングが合わず、計測できませんでした」 そんな小川は2度目の赤旗明けに24秒870というセクター1全体ベストを記録している。 「あれは最終コーナーでアタックを止めたクルマに引っかかり、前のクルマの背後に張り付きすぎたために記録されました。ただ、あまりに張り付きすぎていたので(車間を開けなければならず)その周回もアタックできず、そのタイミングで3度目の赤旗が出たという状況でした」 ようやく待ち望んだドライコンディションでの走行セッションだったが、多発した赤旗に翻弄され「今日1日はほぼ1周も『普通に走った』周回はありませんでした」と小川。 「それは昨日僕がクラッシュしてしまい、そこから流れが悪かったので自分に原因があると思います。とはいえ……不完全燃焼の予選でした。正直、普通に走れていたらシングルポジションも狙えた。それほどのポテンシャルがクルマにはありました。あとはドライバー次第という感じだったと思います。それだけに、悔しさの前には困惑もあります」 小川は終始ウエットコンディションとなった初日終了後の取材で、「自分のイメージした感覚とは異なるところでアンダーが出てしまう、その感覚の違いは怖い」と話していた。その感覚の違いはドライコンディションではなくなったという。 「雨を経験してからのドライなので、ドライは行けるな」という感覚になりますね。おそらく、他のドライバーも『行ける』と感じたからこそ、7回も赤旗が入る予選になってしまったのだと思います。『行ける』と思ったら行き過ぎだったという、逆方向での感覚の違いが今日の、この混沌とした予選を生み出したのかなと思いました」 天候と、マカオという特殊な状況に翻弄されたものの、マシンにはポテンシャルを感じている小川。その点は土曜日の予選レース、日曜日の決勝に向けてポジティブな部分だ。 「しっかりとポジションを上げることができるクルマです。あとはドライバー次第かなと。そのためにもまずはリタイアにならず生き残ることを意識し、予選レースではひとつでもポジションを多く上げて終えて、日曜日の決勝に向けて頑張りたいと思います」 そして、佐藤凛太郎はウエットのFP2で日本勢最上位の11番手に入り、Q2に向けても期待が高まる走りを見せていた。 「FP2では雨の走行になりましたが、昨日の悪かった点やクルマで足りなかったところを改善でき、いいところまで来たように感じました」と凛太郎は振り返る。 ただ、迎えた週末初のドライ路面。凛太郎は2アタック目で自己ベストを更新しながら進んだ。ただ、ターン15を迎えたところでスピンを喫し、バリアにクラッシュしてしまう。 さらに、バリアとぶつかった際の反動で凛太郎のマシンがコースを塞ぐかたちとなってしまう。そこに後続を走行していたディーノ・ベガノビッチ(SJMセオドール・プレマ・レーシング)、アレクサンダー・ダン(SJMセオドール・プレマ・レーシング)の2台が凛太郎のマシンを避けきれず接触。 その反動で凛太郎のマシンは跳ね上がるシーンもあったが、幸い大事には至らなかった。 「Q2では初めてのドライコンディションでしたので、とても緊張しました。セッションの最後の方にタイムが出ることは知っていたのですが、コースに1周でも早く慣れるために最初からアタックする気でした。そしてぶつかってしまいました」と、凛太郎。 「体は大丈夫です。明日は後方からのスタートになってしまいますが、落ち着いて順位を上げていけたらいいなと思います」 第71回マカオグランプリのFRワールドカップ、明日16日(土)の日本時間16時30分からは、決勝のスターティンググリッドを決する10周の予選レースが行われる。TGM Grand Prixのふたりの戦いに期待したい。 [オートスポーツweb 2024年11月16日]