【読者の体験談】「気乗りしないセックス」の辛さ、悩みの実情。【気乗りしないセックスのリアル】
【自分の気持ちを守りながら、相手も傷つけない折衷案を探り中】/まりさん(40代後半)
──セックスに対してどのようなストレスを抱えていますか? 根本的に、パートナーとセックスに対する考え方が違います。私は行為自体に意味を感じられず、「スキンシップなど別の方法で愛情表現ができる」と思っています。一方で彼は、セックスを愛情表現の一つとして捉え、頻度も重要だと考えている人。口にはしませんが、毎日したいと思っているはずです。 繊細な人なので誘いを断ると傷ついてしまい、「寂しい思いをさせてしまっている」と罪悪感を感じるように。ですが、眠たいのに行為を受け入れると、翌日の仕事に支障をきたしてしまう。22時頃に帰宅するような生活なので、それ以降に求められると「早く寝たいのに……」とストレスが溜まりました。 罪悪感から、転職するタイミングで時間に余裕をつくってみようと思いました。相手の要望を受け入れられるように生活スタイルを変えてみたのですが、前向きな気持ちにはなれなかったです。結局、忙しさが原因ではなく、私はセックスそのものが億劫なんだと気がつきました。 ──どういった経緯でセックスが億劫に感じるようになりましたか? 行為自体に気持ちいいと感じることはなく、「この時間はなんだろう」と正直思っていました。私自身、毎日パートナーに会いたいというより自分の生活が大事。デートで月に数回セックスをするくらいなら大丈夫だったのですが、結婚して一緒に暮らすようになると、毎晩同じベッドで寝るので求められることが増え、かなり苦しかったです。 ──セックスに対する価値観のすれ違いに、どう対処されましたか? 彼のことは大切なので「どうしてこの人はセックスをしたがるのだろう?」と、彼の心情を想像してみることにしました。そうして、私が彼に対して愛情表現としてすることと同じなのかな、と思うように。 たとえば「おかえりなさい」と声をかけても返事がなかったら悲しいように、彼も愛情に基づいて求めているのであれば全部断るのは違う、と自分のなかで納得がいきました。セックスと愛情表現はつながる、と考え方をスイッチングできたことで歩み寄ろうと思うようになったんです。 ──気乗りのしないセックスには、どのような問題があると感じますか? 性交渉がない“セックスレス”と自分の望みよりも高頻度にある“セックスフル”は表裏一体で、根本はコミュニケーションの問題ではないかと思います。セックスを断り続けるとレスになるし、嫌だけれど受け入れているとフルになる。どちらも極端な態度で、コミュニケーションが足りていないなと思います。 お互いが納得できるかたちを探るために、会話は大切ではあるけれど、相手の気持ちを想像することも同じくひとつの手段。そうやって、お互いの妥協点を探すためにコミュニケーションを取ることが大事だなと感じます。先の約束をしたり、挿入しない身体のふれあいを行ったりするなど、自分の気持ちを守りながら相手も傷つけない方法を探っているところです。 interview&text:Yoko Hasada illustration:Joy Hikari edit:Ayano Homma