Amazon傘下の自動運転企業、ロボタクシー拡大
米アマゾン・ドット・コム傘下の自動運転技術開発企業、米ズークス(Zoox)は、米南部のテキサス州オースティンとフロリダ州マイアミで自動運転車の試験走行を始めると発表した。自律走行技術をベースにした配車サービス、いわゆる「ロボタクシー」は、米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の米GMクルーズや米アルファベット子会社の米ウェイモも本格的な商用展開に向けて開発を進めている。 ■ 年内に商用旅客サービス開始か ズークスはトヨタ自動車の大型多目的スポーツ車(SUV)「ハイランダー」を改造した車両を2都市のビジネス・繁華街近くの地区に配備し、セイフティードライバーを乗せてテスト走行を実施する。 ズークスは、米西部カリフォルニア州フォスターシティーに本社を置く企業で、創業は2014年だ。電気自動車(EV)をベースにした配車サービス用自動運転のハードウエアとソフトウエアを手がける。利用者がスマートフォンアプリで予約を入れると、指定した場所と時間に無人車両がやってくるというサービスを開発している。 すでにカリフォルニア州のサンフランシスコとフォスターシティーの一部でセイフティードライバーなしでテスト走行する許可を取得している。24年2月にカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)が営業を承認しており、年内に商用旅客サービスを始める予定だ。 また、23年には、西部ネバダ州ラスベガスで試験走行を本格化させた。ハンドルやペダル類を備えない車両が同社の従業員を乗せて公道を走行している。同社はこれらの都市を最初の運行地区に定め、技術開発を進めている。
■ 都市ごとで異なる交通事情をデータ化 ズークスは、オースティンやマイアミでの商用サービスの開始時期について明らかにしていない。しかし、2都市では、特徴的な都市環境を生かし自律走行システムを微調整していくとしている。 例えば、オースティンには横型タイプの信号機やワイヤーに吊るされた信号機、踏切、激しい雷雨がある。マイアミの信号機が特徴的で、この都市にはせっかちなドライバーが多いという。同社は24年春からこれら都市の交通データを収集し、自律走行システムに反映させてきた。今後は、セイフティードライバーが乗らない走行試験を始める予定だ。 ■ ロボタクシー開発加速 今回のズークスの発表は、ロボタクシー開発の動きが加速していることを示している。米テッククランチによると、GMクルーズは最近、テキサス州ダラス、米西部アリゾナ州フェニックスで試験走行を行う計画を発表した。ウェイモは、年内に予定する商用サービスに向け、オースティンの同社従業員にセイフティードライバーなしの乗車サービスを始めた。ウェイモは南部ジョージア州アトランタでもテスト走行を始める計画だ。 一方、アマゾンは、EVスタートアップの米リヴィアン・オートモーティブや自動運転技術開発の米オーロラ・イノベーションに出資している。アマゾンはこうしたモビリティー分野に力を注いでいる。物流事業の効率化やコスト削減、規模拡大を狙うほか、気候変動対策の一環として投資を続けている。
小久保 重信