ホンダ、日産との経営統合含めた選択肢検討-実現にはハードルも
事情に詳しい関係者によると、日産株36%を保有する筆頭株主のルノーは、今回の交渉を前向きに捉えている。ルノー側は日産に資金を投入するつもりはなく、同社が自ら経営強化策を見いだすことを強く望んでいる。
報道の通りに合併が成立すれば、日本の自動車業界は事実上、ホンダ・日産陣営とトヨタ陣営の2つの主要なグループに集約されることになる。米テスラなど含め世界の大手自動車メーカーと競争するためのリソース確保につながる。
重複事業多く
日産とホンダは日経報道について自社が発表したものではないとした上で、各社の強みを持ち合い、将来的な協業について、報道内容を含めたさまざまな検討をしているが、決まったことはないと述べた。三菱自の広報担当者は電話取材に、同社が発表したものではなく、現時点で何も決まっていないと話した。
日産は足元で業績が急速に悪化し、生産能力の削減や9000人のリストラに迫られている。ホンダも好調な二輪事業で収益を支えているものの、長年の課題である四輪事業の収益性の低さは解決されておらず、「弱者連合」との冷めた見方もある。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は、両社の経営統合報道について、業界での弱い者同士の統合で、大きな動きというわけではないとコメント。両社が統合してもEVで覇権は握れないだろうと述べた。英調査会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツのアナリスト、ジュリー・ブート氏は両社は事業領域に重複する部分も多く、統合に向けて解決すべき課題は多いと指摘した。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストはリポートで、経営統合が実現すれば経営的に厳しい日産には救済の効果が短期的に期待できるとする一方、業績好調なホンダにとって短期的なメリットは乏しく、長期的観点から自動運転や電動化などの先進技術導入やソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)などでの開発費や設備投資の負担軽減の効果を期待することになるだろうとした。