アラフォーで一大決心、夫婦揃って科学者から保育士へ。埼玉に立ち上げた”異色保育園”の日常
今は月に1回、ナゼラボの庭で「コミュニティキッチン」というイベントを開き、野外の炊事場に大人と子どもが集まって食材を皆で分かち合い、ご飯をつくって食べている。 「今の時代、特に東京などの都市部は老人は老人、子どもは子どもとコミュニティが分断されることが多いですが、子どものうちからいろいろな大人と交流することが大きな力になります」(繁彦さん)。 ■博士号を活かして 舘野夫妻は、自分たちのように博士号を持った人々がもっと現場の教育に関わってほしいと願っている。
「いまドクターはなかなか大学のポストが空かず、いわゆるポスドク問題は深刻さを増しています。それであるなら、ぜひ子どもたちの探究学習に関わって子どもたちに学びの楽しさを伝えてほしい」(繁彦さん)。 自然の中で子どもたちが自発的に学べる場をつくろうとする舘野夫妻の挑戦は、まだ始まったばかりだ。 (舘野夫妻の経歴) 舘野繁彦(たての・しげひこ)1978年生まれ。川崎市出身。東京工業大学地球惑星科学専攻博士課程修了。東京工業大学地球惑星科学専攻特任助教、岡山大学惑星物質研究所特任准教授、東京工業大学地球生命研究所研究員を経て、埼玉県横瀬町で保育士に。博士(理学)
舘野春香 (たての・はるか)1984年生まれ。埼玉県横瀬町出身。東京工業大学地球惑星科学専攻博士課程中退後、海洋研究開発機構研究員。岡山大学惑星物質研究所助手、東京工業大学先導原子力研究所研究員、日本原子力研究開発機構研究員を経て、横瀬町で保育士に。博士(理学)
岩崎 貴行 :ジャーナリスト・文筆家