日本でモータースポーツを文化に……デロイト トーマツが関与を深める理由「日本経済のために必要なこと」
モータースポーツを持続可能なモノに
「まずはトムスさんと、7つの分野で協業しましょうということになりました。その後JRP(スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーション)さんからも課題を伺い、そこでも、我々にも何かお役に立てることがあるのではないかと思ったんです」 「そして今回はUNIZONEの立ち上げにもサポーティングカンパニーとして参加させてもらいました。モータースポーツ全体を盛り上げ、サステナブルなモノにしていかないと、ありとあらゆるモノが回らないなという、ごく当たり前のことに気づいただけなんです」 「スーパーフォーミュラのサポートに加えてUNIZONEもサポートすることによって、モータースポーツの文化をeモータースポーツという形で現代に合わせることができ、立ち上げや活動を支える上で我々の知見がお役に立てればいいなと思いました」
eモータースポーツで、裾野を広げる
UNIZONEは前述の通り、初のJAF公認eモータースポーツのリーグである。JAF、そしてデロイト トーマツとしては、このUNIZONEを成立させることが、モータースポーツの裾野を広げることができると期待しているという。 「JAFの想いとしては、モータースポーツの裾野を広げたいというということでした。それについては、私も同じように思っています」 「今の日本は人口も減り、クルマに乗る人も減ってきています。でもeモータースポーツならば、免許がなくても乗れます。そういうのが身近にあればいいですよねという発想です」 そう三木氏は語る。ここまでUNIZONEとしては、昨年のメディア向けイベントと高崎でのエキシビジョンイベント、そして3月31日にはE-Tokyo Festivalの中でもイベントが行なわれた。しかし、まだまだ目指すべき形には仕上がりきっていないという。 「ここまで3回にわたってイベントを行ないましたが、まだまだ足りないところだらけです」 「eモータースポーツは、リアルモータースポーツと何が違うのかというのを、一般の方々にお示ししなければいけません。大画面にレースの模様が映るというだけでは、eモータースポーツの意義や魅力は伝わりません」 「eモータースポーツをやるならば、プロが走ってバトルしているのを、リアルのモータースポーツとは違う目線でお見せしたいんです。リアルだろうがeモータースポーツだろうが、プロ同士が真剣に戦う姿を、全然違う見せ方をしなければいけません。例えばリアルのモータースポーツならば、ドライバーたちはヘルメットを被っているので、表情がなかなか見えません。でもeモータースポーツならばヘルメットを被る必要がないので、表情をお伝えすることができます。にもかかわらず、我々のイベントでは選手たちが壁の方を向いて競技をしていた……せっかくの状況をうまく使えていませんでした」 「我々は、まだ全然アピールできていませんでした。これは、我々運営サイドが、何がアピールポイントなのかを整理できていなかったからです」 「メディアの皆さんにeモータースポーツの見どころや魅力を分かりやすく伝え、メディアに取り上げていただいた記事をより多くの方に見ていただいて、話題となり口コミなどで広げていきたいと思っているのですが……それが全然できていませんでした」 三木氏は、UNIZONEのシステムを使い、リアルのレーシングマシンとeスポーツのマシンが競い合う、”デジタルツイン”的なレースを実現させたいと話す。 「私がやりたいのは、デジタルツインなんですよ」 「eスポーツのドライバーとリアルのドライバーが全然違う場所、例えば、片方は東京、片方は鈴鹿サーキットで走るという形でも戦えると思います。海外と繋ぐことだってできますし、サーキットで観戦している方には、eスポーツのマシンをプロジェクションマッピングなどで表示することもできます」
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