映像:半導体大手キオクシアHDの初値は公開価格下回り1440円、今年最大のIPO
メモリー半導体大手のキオクシアホールディングスが18日、東証プライム市場に上場し、初値は1440円で公開価格の1455円を下回った。時価総額で今年最大の大型上場とあって、IPOの成否は相場のムードに影響しかねないとの見方もあり、初値後の値動きにも市場の関心は高い。 初値形成後は切り返して公開価格を上回って推移しており、市場では「予断を許さないが、ひとまず安心」(国内運用会社のファンドマネージャー)との声が聞かれる。 キオクシアHDの上場時の時価総額は仮条件に基づくと約7840億円で、東京メトロの6972億円を上回る大型上場となる。岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「長い目で見れば(半導体メモリーの一種の)NANDフラッシュの大手として収益拡大が期待できる」と話す。 キオクシアHDの株価が初値を上回って推移すれば、相場全体のムードにもポジティブに作用するとみられているほか、公開価格で購入した投資家が売却益を他の銘柄への再投資に回せば相場の押し上げに寄与するとの思惑がある。 半導体関連の一角として関心を集めそうな一方、岩井コスモの斎藤氏は、NANDは、同じくメモリーの一種のDRAMほどには、AI(人工知能)に関連した需要の面で顕著な拡大は予想されていないとして「DRAMを手掛ける韓国SKハイニックスや米マイクロンに比べるとバリュエーションの面で見劣りするかもしれない」と指摘している。 大型上場だが、流通株式比率は28%にとどまる。市場への株式放出が限定的となる中、公開価格からの上方乖離は3%程度にとどまっており、IPO銘柄としては盛り上がりに欠けている。市場では「同社の業績はこの1年で急回復しているが、市況に応じて業績の振幅が激しい面があり、投資家にとって手掛けにくさにつながり得る」(国内証券のアナリスト)との見方も聞かれる。