【有馬記念】「ずいぶんお姉さんになった」3歳牝馬が頂点 10年ぶりVの戸崎圭太騎手「可能性しかない」
◆第69回有馬記念・G1(12月22日、中山・芝2500メートル、良) 第69回有馬記念・G1(22日、中山)は、単勝5番人気のレガレイラが鼻差の接戦を制し、3歳牝馬では1960年のスターロツチ以来64年ぶりの勝利を飾った。秋古馬3冠がかかっていたドウデュースの出走取り消しで大混戦となった暮れのグランプリ。初コンビの戸崎圭太騎手(44)=美浦・田島厩舎=に導かれて歴戦の古馬を撃破し、新たな女王に輝いた。 【データで見る】レガレイラの血統、戦績 着順掲示板の1着の場所にレガレイラの馬番8の数字が出ると、5万4505人の観衆は沸き上がった。スターロツチ(当時は芝2600メートル)以来、64年ぶりの3歳牝馬による制覇。残り50メートル付近で逃げるダノンデサイルをかわし、最後は同じサンデーレーシングの勝負服のシャフリヤールとの壮絶な叩き合いに。18センチの鼻差でモノにした戸崎は「勝ったか全く分かりませんでした。気持ちだけは負けないと、必死に追いました」と振り返った。検量室前で陣営から『かわしている』と告げられると、両手を上げガッツポーズ。10年ぶりのVに喜びを爆発させた。 前回の制覇も同じくサンデーレーシングの牝馬ジェンティルドンナだった。「あの時は気持ちだけ、勢いだけで乗っていました。今はいい感触で乗れていますし、かみしめる喜びがあります」と、円熟味を増した名手は静かに言葉をつむぐ。「騎乗しての感覚が良くなっているので、そのあたりが結果に出ていると思う。まだまだ気づいたことがこの年になってありますね」と昨年を20勝上回る132勝目をマークした44歳は真価を発揮し続けている。 昨年、牡馬相手のホープフルSを制したレガレイラだが、今年は皐月賞(6着)、日本ダービー(5着)の牡馬クラシックで最速の上がりで伸びるも流れが向かず。ローズS、エリザベス女王杯でもスムーズに運べず、いずれも5着だった。その年、未勝利馬の勝利は05年のハーツクライ以来、19年ぶり6頭目。「ファンの皆様が納得する走りができていなかったが、最後に本来の走りができてホッとしています」と22年のイクイノックス以来の制覇となった木村調教師は胸をなで下ろした。 馬自身が著しく進化した。課題のスタートを克服し、道中は鞍上の「ポジションを取ろうと思っていた」という意図に応え、中団馬群の中をリズム良く追走。直線ではコースが開くと素早く抜け出し、以前までの後方待機の姿はなかった。トレーナーは「朝、厩舎から見送るときに『ずいぶんお姉さんになったな』と思いました」と感慨深げだ。 頂点の座に就いて迎える25年シーズン。指揮官が「ドウデュースが引退したので、この馬が中央競馬を引っ張る一頭になる。それを育んでいけるように頑張りたい」と意気込めば、鞍上も「可能性しかないです。まだまだ成長していますから」と笑顔。覚醒した女王が、ビクトリーロードを突き進む。(角田 晨) ◆レガレイラ 父スワーヴリチャード、母ロカ(父ハービンジャー)。美浦・木村哲也厩舎所属の牝3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算8戦3勝。総獲得賞金は6億3438万1000円。主な勝ち鞍は23年ホープフルS・G1。馬主は(有)サンデーレーシング。
報知新聞社