綾瀬はるかが〝無名の誰か〟に転生するために費やした努力の跡を見よ「ルート29」
照れ屋の2人が打ち解け合った
映画史的側面で強調したいのは、大沢一菜と綾瀬はるかの2人の女優のケミストリーが、今まで我々が見てきた映画史のどんな前例とも差別化されるロードムービーを誕生させたということ。筆者が森井監督にその秘訣(ひけつ)を聞いたところ、2人とも照れ屋で、わざとお互いを仲良くさせようとしなかったのに(無理に何かをさせないという彼らしい演出)、気がついたら親しくなっていたと。「なるほど」という感嘆のつぶやきが自然に漏れる。 ここまで来ると、日本の皆さんがうらやましくなる。たった2本だけで大ファンを確保する森井監督の映画を真っ先に見ることができるのは、どれほどぜいたくな環境だろう。ここに彼に一言お願いを付け加えたい。「製作費も出せないのに厚かましいですが、どうか続編を作ってください」