25年前に町民が選択した「埋め立て処分場の延命」 資源リサイクル率日本一の鹿児島県大崎町が直面するリアルな課題
現在、日本のごみの焼却率は79.9%と世界第1位(環境省調べ)です。家庭から出たごみのほとんどが焼却施設に運ばれて燃やされているため、日本のごみのリサイクル率は19.9%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国全体平均の34%に比べて非常に低い水準です。 焼却施設の寿命は20年程度。さらに地球温暖化の抑制策もあり、生ごみの堆肥化を義務付ける国も出てきています。 SDGsが世界トレンドとなるなかで、新規の焼却施設をいつまでつくり続けられるのか、過疎化する地方でランニングコストを捻出していけるのか、課題は山積みです。 現在、世界的に注目されているのが、2022年度のごみのリサイクル率84%を誇る日本一のリサイクルの町、鹿児島県大崎町です。資源リサイクル率日本一の町の試みと課題から、今後日本が向かう道や課題、企業ができることは何なのかを探ります。
過疎化・高齢化する町のリサイクルの課題
「リサイクルの町から世界の未来をつくる町へ」というキャッチコピーで、「サーキュラーヴィレッジ・大崎町」を打ち出している鹿児島県大崎町は、志布志湾に面した大隅半島に位置する人口約1万2000人の小さな町です。
リサイクル率日本一を15回獲得し、2022年度にはごみの84%を再資源化しています。日本のごみのリサイクル率が19.9%であることから考えると驚異的な数字です。
大崎町の取り組みを可能にしてきたのは、ごみの埋め立て問題に直面した住民一人ひとりの理解とリサイクルを担う衛生自治会ら、地域コミュニティの活動です。 自治会とは別に、約150の集落ごとに存在する「衛生自治会」は、地域の環境を衛生的に保つことを目的とした組織です。 大崎町でごみを出す住民は皆、年間500円を支払って衛生自治会に加入することで、ごみステーションを活用することができます。会費は、ごみステーションの運営などに活用されています。 4年前に衛生自治会の副会長になった山野利髙さんは、就任時、20年ぶりに埋め立て処分場を見に行って驚いたそうです。