愛知・三河の山間部 微かに聞こえてきた子犬の鳴き声 保護された5匹はそれぞれの幸せの道へ
愛知県三河地方の山間部には野犬が多く暮らしています。 2022年の秋、山間部で生まれて間もない野犬の子犬たちと思われる、複数の鳴き声が聞こえてきました。放っておけば、お腹を空かして山を降り住宅地で捕獲され、最悪の結末では殺処分されてしまうことも。こんな実例を見てきた静岡県の保護団体、アニマルフォスターペアレンツのメンバーは、子犬きょうだいを保護しました。 【写真】保護当初、子犬きょうだいは空腹で鳴いていました
続々と里親さんが見つかる中で、1匹だけ縁がなかったなつ
保護したのはオス3匹メス2匹の計5匹。いずれも生後約1カ月ほど。保護当時近くに母犬がおらず、鳴いていたのはお腹を空かしていたからのようでした。保護後、団体メンバーは子犬きょうだいが体を壊すことなく健康に成長してくれるよう、献身的にお世話をしながら、団体主催の譲渡会などにも参加させました。 オス3匹、メス1匹には「ずっとのお家」が見つかりました。しかし、メスのワンコ・なつには良縁がありませんでした。
ルックスからオスと思われがちだが、よく見るとかなりの美人さん
鼻の周りが黒く、一見オス犬のようにも見えますが、よく見るとかなりの美人さん。性格も優しく、他のワンコとも仲良く過ごせる穏やかな性格です。人間には少々怖がる様子を見せますが、かと言って攻撃を仕掛けるわけでもなく、譲渡会などではビビりながらも初めて会う人の前でちゃんとご挨拶。 そのルックスの良さ、愛嬌の良さから、すぐに人気者になりましたが、どういうわけか「うちにおいで」の声がかかりませんでした。
なかなか克服できなかったビビリ
保護から半年。当初の数倍にも体が大きくなり、さらに落ち着いた様子を見せるように。保護メンバーはなつの「ビビリ」が原因で、なかなか縁に結ばれないのではないかと考えていました。なつの幸せな将来を願い、ビビリを克服するためにも譲渡会などの場に積極的に参加させました。しかし、何度参加させてもダメ。なつのビビリはそう簡単に克服できるものではありませんでした。
ついに「迎え入れたい」という里親さんが現れた
そんななつの様子を見て「かわいい」と言ってくれた人がいました。静岡県湖西市に住むNさんという方でした。 「確かになつはビビリだけど、うちの家族になってくれたら、なつちゃんのペースでゆっくりと時間をかけ、必ず心を開いてくれるワンコにします。心を開いてくれさえすれば本当に『お利口さん』になってくれるはず」と話しました。 なつはNさんの家で一定期間のトライアル。初めての家ではかなりビビる様子を見せ心を閉ざしたままでしたが、Nさんの献身的なお世話を受け、Nさんに甘える素振りまで見せてくれるようになりました。果たしてなつはNさんの家に正式に迎えられることとなりました。保護から約7カ月ほどで「ずっとのお家」をつかむことができたというわけです。 きょうだいたちとは離れて暮らすことになったものの、今日もNさんの家で穏やかに明るく元気に過ごしているそうです。なつの幸せな犬生がこの先1日でも長く続いてくれると良いなと思いました。 (まいどなニュース特約・松田 義人)
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