井上拓真が最高助っ人兄尚弥のサポート受けV3防衛狙う「圧倒して勝てるように」
ボクシングWBA世界バンタム級王者井上拓真(28=大橋)が最高の助っ人のサポートを生かし、3度目防衛成功を狙う。13日、東京・有明アリーナで同級2位堤聖也(28=角海老宝石)の挑戦を受ける。3日に横浜市の所属ジムで練習を公開し、4団体統一スーパーバンタム級王者の兄尚弥(31)との実戦形式メニューで堤攻略への手応えを得たと明かした。また来年中に期待されるWBC世界同級王者中谷潤人(26=M・T)との統一戦につなげるため、V3防衛に集中する姿勢を示した。 ◇ ◇ ◇ 堤攻略への自信が、井上の表情からにじみ出た。公開練習に堤陣営の石原雄太トレーナー(42)の視察があり、詳細は明かさなかったが、兄尚弥との軽めのスパーリングで念入りに対策してきたとし「(尚弥と)10回以上はしている。手応えはバッチリある。細かくは言えないが、準備はバッチリ」と笑みを浮かべた。 以前、堤とスパーリング経験がある兄の動きは的確で、父真吾トレーナーは「ナオ(尚弥)がいろいろ想定してくれた。プラスアルファの助言をしたら忠実にやってくれるのですごくいい」とうなずいた。所属ジムの大橋秀行会長(59)も「すごく尚弥が堤の特長をとらえており、それに拓真が反応していた」と十分な対策ができたと強調した。 堤には高校2年の時に1度戦って勝利した。挑戦者からリベンジへの思いをぶつけられる井上は「圧倒して勝てるように。しっかり返り討ちにしたい」と言葉に力を込めた。世界初挑戦の堤に対し、井上は6度目の世界戦。高校3年時のプロデビュー戦は、後にWBO世界ミニマム級王者となった福原辰弥に判定勝ちするなど日本人戦は過去7戦全勝している。試合用Tシャツに「OVERPOWERED BLOW(圧倒的な一撃)」と記し、格の違いを見せつける構えだ。 来年にはWBC世界同級王者中谷潤人(26=M・T)との統一戦の期待も高まる。井上は「中谷選手との統一戦が決まればすごく高ぶる。やらせてもらえるなら、いつでも。それに向け、まずは堤選手に集中して勝つ」と気を引き締めていた。【藤中栄二】 〇…堤陣営となる石原トレーナーが井上の公開練習を入念にチェックした。各1回のシャドーボクシング、サンドバッグ打ちをチェックし「本気ではなく流してやっているけれど、パンチの的確性、足のスピードは速いなと感じる」と警戒した。また堤対策で兄尚弥が軽めのスパーリング相手を務めていることに対し「あんなに堤はキレもスピードもない。独特のタイミング、ちょっと違うリズムがあるので。そこで勝負していく」と分析した。