TikTok は禁止騒動のなか、Shoptalkで小売業者に売り込みをかける
毎年ラスベガスで開催され、何千人というデジタルコマースおよび小売の専門家たちが集うカンファレンスであるShoptalkに今年出展した企業は900を超え、TikTokはあくまでそのうちの1社だった。だが、米国で事業を展開する企業としての未来が不透明であることを踏まえると、同社は間違いなくもっとも注目を集めた企業のひとつだろう。 Shoptalkの、窓のない、空調の効いた、広々としたイベント会場のなかで、TikTokは米政府の標的にされているプラットフォームには見えなかった。 それどころかむしろ、中央に位置する広大な展示スペースを陣取り、豪華な椅子、ショッキングピンクの看板、ネオンカラーのトートバッグで飾り立て、そして広告プラットフォームとしての可能性について興味津々のブランド勢とのスケジュールでびっしり埋まっていた。
米下院はTikTok禁止法案を可決
米下院は3月13日、親会社であるバイトダンス(ByteDance)が売却しないかぎり、TikTokアプリプラットフォームのサービス継続を強制的に禁じる法案を可決させた。 米国では現在、毎月約1億5000万人のアクティブユーザーが同アプリを利用しているが、この「TikTok禁止」は中国政府からの影響力増大を懸念する声が高まるなかで超党派の支持を得た。 上院がどのように採決するかは不明だが、バイデン大統領はこの法案に署名する意向を示しており、eコマース関係者は早くも、法案が通過した場合の対応について検討している。
そのなかでTikTokは新広告プロダクトを発表
だがそんななか、ネオンライトが煌々と輝く、空調が完備されたラスベガスのイベント会場において、TikTokはブランドおよびeコマースの専門家たちとの関係強化の手段としてShoptalkを存分に利用した。同社は新広告プロダクトのローンチを3月18日に発表している。 その1つであるショップ広告(Shop Ads)を使えば、広告主はTikTokショップ(TikTok Shop)に直接広告を出せるようになり、TikTokショップは販売への近道の提供を狙っている。さらには、今まで試験的に導入されていた動画ショッピング広告(Video Shopping Ads)は、カルーセル表示や検索画面への表示、Shopify(ショッピファイ)との統合による管理効率向上など、いくつかの新たなアップグレードを備え、間もなく世界的に展開される予定だ。 米モダンリテールはTikTokプロダクトストラテジー部門グローバルヘッドのレイ・カオ氏に取材し、この新プロダクトサービスと既存プロダクトとの違いについて話を聞いた。 「我々はROAS(広告費用対効果)の向上をめざしている」とカオ氏は話す。「我々の目的は、確実にそのファネルまで降りていくことであり、どこででもコマースができるように力を貸すというのは、単に注目を集めるだけでなく、購入ボタンをクリックさせるという意味だと、広告主たちに理解してもらうことだ」。 TikTokは米モダンリテールに対して禁止法案についての正式なコメントは避けたが、同プラットフォームを利用する500万社もの中小企業を脅かすものだとの見解は公にしている。同時にTikTokはユーザーに対し、各々の州の上院にこの法案への反対票を投じるよう呼びかけることを強く促している。 以下の発言は、長さと読みやすさを考慮して若干の編集を加えてある。 ◆ ◆ ◆