仏マクロン大統領、相次ぐ差別発言・失言報道で非難の的
マクロン氏はさらに、緑の党のマリーヌ・トンドリエ事務局長と、左派連合が首相として推薦していたリュシー・カステ氏を、女性を蔑視する言葉である「ココット(cocotte)」と呼んだとも報じた。
トンドリエ氏はXで「きのう、大統領がガブリエル・アタル氏について、同性愛嫌悪的な極めてショッキングな発言をしたことを知った」「きょうは性差別発言だ。あすが待ちきれない」と述べた。
■「国民に説教」
マクロン氏は、先週末にサイクロン「チド」で壊滅的な被害を受けたマヨット島を訪問した19日の発言でも物議を醸している。
マクロン氏は、フランスの災害対応を非難した群衆に向かって、「ここがフランス(の一部)でなかったら、この1万倍はひどいことになっていただろう」と述べた。
緑の党のサンドリーヌ・ルソー議員は、マクロン氏のマヨット島視察は「傲慢な態度で講釈を垂れるため」だったと非難した。
社会党のオリビエ・フォール第1書記はXに、「大統領によるあのような発言は許されない。(マクロン氏は)フランス領の他の場所でも、『フランス人であるだけで十分幸運なのだから、自分たちの身に起きた悲劇について文句を言うのはやめなさい』と国民に説教するのだろうか」と投稿した。
マクロン氏は就任当初も放言で知られ、求職中の若者に自分なら「道を渡るだけで」仕事を見つけられると言葉を掛けたこともある。
パリ政治学院のフィリップ・モロー・シボレー教授(コミュニケーション学)はAFPに対し、マクロン氏はいまだに「権威主義的と見られてきたこれまでのイメージをさらに損なうことになっても、ちょっとした一言で会話の主導権を握る」ことを好んでいると指摘。
マヨット島での発言が「大失態」に終わったのは、訪問の目的だった「共感と再建を訴えるメッセージがかすんでしまった」からだと説明した。
舌禍を招いたマクロン氏は今、微妙な時期にある。同氏が今夏に国民議会(下院)の解散・総選挙という大ばくちを打ったことで、フランスは政治危機に陥っている。