『心理学のプロ』が常駐する保育園 コミュニケーションが苦手な子ども 泣かずに要求を伝えられるよう「やりたいことを示すまで待つ」作戦で見えた変化
おもちゃで遊んでいても、また大泣き。 そこで松田さんがおもちゃを差し出します。 【公認心理師 松田采実さん】「ちあちゃん、どっち?あ、これやな」 ほしかったおもちゃをもらった途端、涙はピタリと止まりました。 公認心理師たちは、泣くこと以外の方法で「お願い」を伝えられるよう、心理学的な視点から考えた対応方法を提案し、保育士たちと実践していきます。
それは“やりたいことを示すまで待つ”作戦。指をさしたり、ジェスチャーをしたりする方が、要求をかなえやすいと覚えてもらうためです。 こちらから意図をくみ取ってやってあげるよりも「我慢」や「待つこと」で、意思表示をする機会が増えると考えられています。 【公認心理師 松田采実さん】「自分がやったことで何か返ってくるのが大切。ちあちゃんに『どっち?』と提示した時に手を伸ばしたり、指さしなど、何かしらアクションがあれば『どうぞ』と。やる前にどうぞとすると、(意思表示の)機会をうばってしまうのがもったいないので、待つ」 根気は要りますが、保育士とともに行う日常的な支援が成長を促すのです。
しかし、こうした環境はまだまだ限られています。 宇治市の療育施設「ころぽっくるの家」に通う4歳のかいくん。 近くの保育園と並行して、お母さんと一緒にこの施設にも通っています。 「ころぽっくるの家」では、発達段階で支援が必要な未就学児に対して、特性に応じた療育が取り組まれている他、就学後も18歳まで継続してサポートが行われます。 今は施設でのびのびと過ごしているかいくん。 しかし、コミュニケーションが苦手という特性が分かってからも、施設に空きが出て入所できるまで、約1年間待たなければなりませんでした。 【かいくんの母親】「(保育園の)お友達に気持ちを伝えられないとかで、手が出るとか、噛むとか、押すとか、そういう手段で自分の思いを相手にぶつける。どのような支援があれば友達とやりとりができるかとか、周りの保護者も同じ悩みを持っていたので。早い段階で打てる手だてがないかなと、いつも考えていました」
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