「3度の食事」にさえ困っているのに「生活保護」の申請が“却下”…なぜ? 制度にひそむ“落とし穴”とは【行政書士解説】
生活保護の審査期間中に病気にかかり、病院にかかりたい場合は?
審査期間中の病院への受診についての質問・相談も数多くあります。申請日時点でお金が5万円以下しかないのに、そこから医療費を払えば食費、光熱費、携帯代を支払うお金が無くなってしまう、といったものです。光熱費、携帯代は審査期間中の緊急支援では支給してもらえないのです。 医療を受ける権利は最低生活として守られなければいけない権利の一つです。したがって、申請日以降に「病院に行きたいけれどお金が払えない」ことを担当者にしっかり相談すれば、対応してもらえますし、対応してもらうべきものです。 しかし、実際には、これも統一した対応マニュアルなどがないために、親切な福祉事務所とそうではない役所の対応差がかなりあります。 たとえば、同じ大阪府でも、自治体によっては「現在生活保護申請中なので医療費の窓口負担は免除してください」といった書面を病院で提示できるよう交付してくれるところもあれば、そういった措置をとってくれないところもあります。 生活保護申請をサポートする行政書士の多くは、ほぼ毎週、全国の病院とやり取りしています。なぜかというと、生活保護申請中に病気にかかってしまった人から、「役所に相談しても、自分で病院と交渉してくださいと言われた。病院へ行ったら、生活保護が受けられるか決まっていないのにタダで診られないと言われた」という相談が絶えないからです。 全国の地方自治体が統一した対応をしてくれるようになることを切に望みます。 三木ひとみ 特定行政書士
三木 ひとみ