「3度の食事」にさえ困っているのに「生活保護」の申請が“却下”…なぜ? 制度にひそむ“落とし穴”とは【行政書士解説】
親族等から“金銭”や“食糧支援”を受けることの「落とし穴」
よくあるケースとして、生活保護の申請後に収入も手持ちのお金もなく困ってしまい、生活保護費が出るまでは自分で何とかしなければいけないと思い、親族に頼みこんで金銭や食糧支援を受けたことが要因で、申請が却下になることがあります。 生活保護を申請した日以降に、だれかからお金を借りたりもらったりするなど、何らかの経済援助や借り入れがあれば、それは「収入」とみなされます。 申請日以後に親族を頼るなどして同居した場合には、その親族の所得や資産も審査の対象となります。 生活保護の申請後、決定が行われる前の段階で経済援助等を受け、その収入によって最低生活費が満たされれば、「最低生活が現にできている」と認定され、申請は原則として却下されます。友人や金融機関からの「申請日以降の借り入れ」も同様です。 また、現に生活保護を受けている場合も、その収入分は基本的に、就労収入の一部控除などを除き、保護費から減額されます。 それが、たとえ親族が無理して援助したお金であろうと、友人や金融機関から借りたお金であろうと、最後のセーフティーネットである生活保護を発動しなくても、法が定める生活水準を満たしていれば、生活保護を受けることは基本的にできません。 生活保護は、最低限度の生活を送るために、家族全員の所得や資産を合算しても足りない分を手助けするための制度だからです。
再度申請すれば、生活保護を受けられるケースも
これを知らないがために、無理して親族間で経済援助をしたことが裏目に出て、申請が却下されて生活保護を受けられず、その後も、一度却下になったことから「もう生活保護は受けられない」とあきらめて、更なる困窮状態に陥るといった悪循環に苦しむ人も多くいます。 類似の相談も多く、上記の原則を説明した後、すぐに申請を行い、その申請日以降に親族からの経済援助が一切ないことから、親族の経済状況にかかわらず、生活保護が受けられるようになったケースを数えきれないほど見てきました。 なお、役所によっては、そうした親族からの経済援助に目をつむるというか、申請日時点で所持金が5万円以下の場合には、保護決定が行われ保護費が支給されるまでの間、「足りない食費など親族が多少援助してもいいですよ」などと言ってくれる職員もいます。 しかし、「経済援助により最低生活が確保できている」として却下もできますし、非常に危ういので、私は行政書士としてサポートするうえでは「申請日以降にお金、食料に困ったら都度役所に連絡、相談しましょう」と助言しています。