イタリア、フランス、パラオ、米国“海外に住んでいる日本人”に聞いてみた「世界のリアルな住み心地」
「EXPAT by COURRiER Japon 海外で暮らしてみたら」は、世界各地に暮らす日本人がリアルな情報を発信するプラットフォームです。6月に掲載された投稿のなかから、注目の記事4本をご紹介します。 【画像】パラオの世界遺産ロックアイランドのビーチ
パラオの観光税は高すぎる?
パラオ在住の伊藤洋美さんが、観光税について説明しています。日本では、山梨県が富士山の通行料として2000円の支払いを義務化しました。パラオでも環境保護のために観光税を徴収していますが、その額は富士山を上回ります。まず、航空券を購入した時点で、13歳以上には100ドル(約1万6000円)が上乗せされます。 「100ドルの内訳は10ドルが漁業保護信託基金、12.50ドルが州政府へ分配、25ドルはパラオ空港と年金、30ドルがグリーンフィー(環境関連団体への資金)、22.50ドルが国庫へということになっています」 さらに、観光する際は州ごとに税金を払う仕組みになっています。 「最も値段が高いのがコロール州のロックアイランド・パーミット(許可)。ツアーだけで50ドル、かの有名なジェリーフィッシュレイクにも入れるパーミットは100ドルとなっています」 伊藤さんいわく、パラオ観光の定番3ヵ所に行くと、「税金だけで235ドル徴収される」ことになるそうです。もちろん、ガイドやボート費用は別。最近ではホテル税も加わったそうで、旅費はさらにかさみます。その一方で、パラオ国民に対しては観光関連の課税はされません。 「オーバーツーリズムは世界中で問題になっていると思いますが、こうした観光税を高くすることで、観光客数を抑えることができているように思います。また、生活圏と観光地をなるべくわけて、観光客と住民の双方にストレスがかからないようにしているのです」
ヨーロッパで深刻化する「孤独とポピュリズムの台頭」
パリからは、中村まゆ美さんがヨーロッパで問題になっている「孤独」について取り上げています。仏独共同出資のテレビ局「ARTE」で放送されていたニュース番組によると、16~30歳の若者を対象とした調査で「11%が『自分は完全に孤独だ』と感じており、『どちらかといえば孤独だ』を合わせると46%にまで達する」ことがわかったそうです。中村さんはこう書いています。 「なぜ『孤独・孤立』が問題になるのかというと、孤立状態が長く続くと、体に支障をきたすだけでなく、心理的には自己への評価が下がって人間嫌いになり、さらには他人に対する信頼、とくに権力に対する信頼を失っていく傾向にあるのだとか。それが、私たちが生きる民主主義への脅威となりうる、とのことなんです。この構図を見ると、現在のヨーロッパでポピュリズムが台頭していることも、賛成はできないけれど、理解はできる気がします」 実際、フランスで6月30日におこなわれた国民議会選挙の第1回投票では、極右政党「国民連合」が最大の得票率を獲得していました。