人気観光スポットで大規模落石「日没との、時間との戦い…命が最優先」34人救助に貢献した作業員2人の「とっさの判断」
2024年9月、静岡県川根本町の人気観光スポット「寸又峡夢のつり橋」に続く道で大規模落石が発生し、観光客など34人が一時取り残される騒ぎがありました。この時、観光客に飲料水や休憩場所を提供した男性2人に静岡県警が感謝状を贈りました。 【写真を見る】人気観光スポットで大規模落石「日没との、時間との戦い…命が最優先」34人救助に貢献した作業員2人の「とっさの判断」 表彰を受けたのは、電力設備の建設などを行う「シーテック」大井川支店に勤務する山下利治さんと高田直巳さん。今回の救助劇の裏には、2人の「とっさの判断」がありました。 事故が起きた9月18日、1か月に一度のダム保守管理で、現場の周辺に訪れていた山下さんと高田さん。落石の一報を受けたのは午前11時ごろだったといいます。迷わず2人は現場に急行し、状況を確認。山下さんが、各所との連絡係、高田さんが観光客の誘導と手分けをして、すぐに行動を開始したのです。 まずは、取り残された人数の把握が最優先と判断。1人1人から住所や名前を聞きました。結果、現場には34人いたことが判明します。この情報が、警察や行政がどの程度の救助が必要なのか、準備を整える際に一番役立ったといいいます。 「意外と観光客の皆さんが落ち着いた」と振り返る高田さん。それでも、この日の川根本町の最高気温は34.8℃を記録し、救助のヘリを待つ間、取り残された人たちは熱中症になるリスクがありました。 ■「ヘリが日没になっちゃうと…」 「当初は、暑い中で、外に公園とかもあるんですけども、やっぱり暑い。それで、仕事上の大間ダムとかの設備を利用していて、そこがいいんじゃないかと思って、(取り残された人に)『大間ダムの方に行ってください』と」(シーテック大井川支店 高田直巳さん) 冷暖房や飲料水などがある関連会社の中部電力の保守作業場を開放することを速やかに交渉し、安全に待機する場所も提供しました。連絡役の山下さんは「連携」がとても重要だったと振り返ります。 「日没との、時間との戦いでした。ヘリが日没になっちゃうと飛ばないということだったので、あっちこっちから電話あったりして。なんとか夕方5時半ぐらいには全員救出できた。とにかく、連携が大事」(シーテック大井川支店 山下利治さん)
午前10時頃の一報から約8時間。2人の機転が34人の命を救ったのです。 直接、2人の元を訪ね、感謝状を手渡した静岡県警の津田隆好本部長は「(発災当時)一体何人ぐらい帰れなくなってるのか、よくわからない状況だった。お二人の活躍で大体の規模が見えた。今回、非常に機転を利かせていただいて、自主的に活動をやってもらったというのは大変ありがたく思っている」と2人の行動を称えました。 「普段から健康とか、命が大切だと(会社でも)言われていたので、それを頭に置いて、その思いが少しで観光客の皆さんに伝わって、いい方向に向かった」(高田さん)
静岡放送