「得意パターン全部乗せ」伊坂幸太郎の集大成『ペッパーズ・ゴースト』が文庫で発売 「しゃばけ」第21弾が1位[文庫ベストセラー]
12月10日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『こいごころ』が獲得した。 第2位は『香君4 遥かな道』。第3位は『ペッパーズ・ゴースト』となった。 1位の『こいごころ』は畠中恵さんの時代ファンタジーシリーズ「しゃばけ」の第21弾。日本橋の大店の若だんなが、彼を見守るあやかしたちとともに、江戸で起こる怪事件やトラブルを解決していく物語。単行本では今年7月にシリーズ第23弾『なぞとき』(新潮社)が発売されている。シリーズ累計発行部数は940万部を突破。 2位の『香君4 遥かな道』は上橋菜穂子さんが2022年に発表したファンタジー小説。伝承や神話、生き物の生態や政治システムなど、精緻に作り込まれたファンタジー世界を舞台に、「香りの声」を聞くことができる少女が国を救うために奮闘する姿が描かれる。単行本2冊が4冊の文庫版となり、今巻で完結となる。 3位の『ペッパーズ・ゴースト』は伊坂幸太郎さんが2021年に発表したエンタメ長編小説の文庫版。未来をみることができる国語教師の周辺で巻き起こる事件と彼の生徒が書いた作中作が同時並行で語られる。ユニークな超能力に個性的な「エージェント」、テンポのよい会話と巧みな伏線で構成され、伊坂さん自身《今回は、得意パターン全部乗せなんですよね。自分の家の冷蔵庫にあるものを全部使いました、という感じで(笑)。》(公式サイトインタビューより)と語っている。作家生活20年超の集大成にふさわしい作品といえるだろう。
1位『こいごころ』畠中恵[著](新潮社) 寝込んでいる若だんなのもとに、妖狐の老々丸と笹丸が訪ねてきた。老々丸は、力の尽きかけた笹丸を若だんなの祖母・大妖おぎんのいる神の庭で暮らせるようにしてほしいという。だが、おぎんに知らせる術はない。困った三人は名僧・寛朝の力を借りようとするが、そこでは化け狸にまつわる信じられない事件が待っていた。そして笹丸に隠された秘密とは!?優しさと切なさにあふれるシリーズ第21弾。(新潮社ウェブサイトより)