【サブスクで観るならこの1本!】2分間のタイムループから抜け出せない!ユルく、あたたかいSF(すこしふしぎ)コメディ
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2023年公開の『リバー、流れないでよ』をご紹介します! ◇ 『リバー、流れないでよ』(2023年・日本) (配信:Amazon Prime Video) タイムリープは2分!リセット地点も同じ場所!タイムリープもの特有の工夫をこらすサマにも注目 本広克行監督のメガホンで映画化された舞台作品『サマータイムマシン・ブルース』や、『ドロステのはてで僕ら』などで知られるヨーロッパ企画のオリジナル長編映画作品第2弾。京都・貴船にある老舗旅館で働く仲居のミコト(藤谷理子)は、ある違和感に気が付く。少し前に片付けたはずの部屋を再び片付け、番頭と同じ会話をしていることに。そして、2分経過すると2分前にいた貴船川のほとりに戻ってしまうことに。そう、貴船にいる全ての人々が同じ時間を「ループ」していたのだ。それもちょうど2分間!不測の事態に困惑しつつも、旅館の従業員や宿泊客と共にループから抜け出す術を模索するミコトであったが……。 タイムループ、タイムリープ、タイムスリップなど、“時間”を題材とした作品が人気を博し、映画・ドラマ・アニメ・漫画・小説問わず、あらゆる媒体で目にすることが多い昨今。それ故、似通った設定に感じられたり、目新しさに欠ける作品に出会うこともあると思う。そんな中、本作では同じ2分間が繰り返されるという新鮮さと意外性、2分間という何かできそうだけど何もできない非常に限られた時間の繰り返し(制約)のなかで一体何を表現するのかといった期待と高揚、京都・貴船を舞台に壮大な使命や目的も帯びていないごく普通の一般人を描くというおかしさと面白さが詰まっている。 果たしてループから抜け出せるのか。そもそもループの原因とは何なのか。徐々に状況を把握し、打開策を考えていく登場人物たちの姿に笑い、心がちょっぴりあたたかくもなり、主題歌であるくるりの楽曲「Smile」も相まって心地良い時間を過ごせる86分。既存の作品とは一線を画すタイムループものが見たい方にオススメです♪ (C)ヨーロッパ企画/トリウッド 2023 ※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。 ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。
ミヤザキタケル