「無観客ならやりたくない」異色のアスリートが語る東京オリンピックに出場する苦悩
ハンドボール日本代表キャプテンの土井レミイ杏利は“異色のハンドボール選手”だ。大学卒業後、ケガで一度は現役を引退したがフランスで現役復帰を果たし、日本代表のキャプテンにまで上り詰めた。一方で「レミたん」として230万人ものフォロワーを抱える人気TikTokerとしての顔も持つ。東京オリンピックを目前に控え、その注目度も日ごとに増している代表キャプテンに、逆風が吹き荒れる東京オリンピックへの率直な思いと、ハンドボール界の未来予想図を語ってもらった。(ラブすぽ/Yahoo!ニュースVoice)
もちろん、やりたい。ただ、「無観客」でやるくらいなら……
まだ収まる兆しのない新型コロナウイルス感染拡大を受け、日本では東京オリンピックの開催に否定的な声が噴出している。当然、アスリートにも複雑な感情が生まれるはずだ。今なお、開催の賛否が問われ続ける東京オリンピックを、土井レミイ杏利はどう迎えようとしているのか―― ――東京オリンピック開催に賛否がありますが日本代表のキャプテンとして、この状況をどう受け止めていますか? 日本代表のキャプテンとして言うのであれば、もちろんやりたいです。僕にとっては夢の舞台ですし、ハンドボール界が大きく変わるきっかけになりうる大会なので、それが行われることを信じて、毎日練習しています。 ――土井レミイ杏利という「個人」としてだと、東京オリンピックに対する思いは違いますか? ……違いますね。ひとりの人間として意見するのであれば、もしひとりでも感染してしまうリスクがあるのであれば、開催に踏み切るのは少し違うのかな、という思いもあります。無観客という話も出ていますが、わがままを承知で言うと、ファンの方がいないなら「やりたくない」という思いもあります。ただ、立場上チームを引っ張っていかなければいけないですし、普段の練習ではそういう思いは押し殺さないといけない。ネガティブな感情があるだけでチームにも、個人にも影響が出てしまうので。そこは切り替えて、開催されることを信じて今は過ごしています。 その上で、もし開催されるのであればまず、1人も感染者が出てはならない。そして、あらゆる試合をする中で、国民に感動や元気を与えられる場面がいくつか生まれて「いろいろ大変だったけど、やってよかったね」と最後に言ってもらえるような大会になれば、終わった後に見直される部分もあるのかなと。だから、もし開催されるのであればそれを目指していきたい。オリンピックに出場することで応援してくれない人もいるでしょうし、難しいところもあるけど、僕たちがそれを示さないといけないですよね。