優しかった母が陰謀論にハマって「ふざけんじゃねえ、ばかやろう!」 男性が身内を「あきらめる」まで
■いじめや差別を許さなかった母なのに 「最初のころは、何が何だかわかりませんでした。認知症を疑ったくらいです」とぺんたんさん。 だが、LINEの内容は徐々にエスカレートしていく。 「コロナをばらまいたのは〇〇国だ。〇〇人は最低だ」 「世界的な実業家B氏が、人口削減のためにコロナウイルスを仕掛けている」 ぺんたんさんが幼いころからいじめや差別を絶対に許さなかった、正義感の強い母。捨て猫を何匹も拾ってきてしまう優しい母が、荒唐無稽な話をしたり、特定の国の人を名指しして、誹謗中傷を送りつけたりしてくる。 「正直、頭が混乱して……そのあとに怒りと悲しみが同時に襲ってきました。あんなに優しかった母が、愛していた人が、平然とヘイトスピーチをする。『あなたの口からだけは、そんな言葉は聞きたくなかった』って……」 ■「あ? どういうつもりだよ!」 今でこそ淡々と、自分に起きた出来事を客観視しつつ振り返るぺんたんさんだが、泣けてきたことは何度もあった。 母を元の世界に戻そうと、説得を続けた。父にも電話で、母が陰謀論者のようになっていることを相談した。 その、すぐあとにかかってきた母からの電話。 「あ? どういうつもりだよ! 誰が陰謀論者だよ! お父さんに言ったんだろ?」 「これだけ真実が世の中に出ているのに、頭の中がお花畑なんだよ!誰が陰謀論者だ。ふざけんじゃねえ、ばかやろう!」 もはやぺんたんさんの知る「母」ではなくなった陰謀論者が、電話の向こうで怒り狂っていた。 この一件以来、母からの連絡は途絶えた。 「関係は壊滅的になりました。それでも、母に何が起きているのかを知りたかったんです」(ぺんたんさん) あきらめ切れなかった。 母が送ってきたSNSなどの情報をネットで調べて、たどってみた。すると、母がSNSのアカウントを作り、陰謀論を拡散していることがわかった。母と同名のアカウントに実家の飼い猫の写真があったのだ。