専用ナビアプリに電車無料乗り放題 意外と?快適なパリ五輪取材
初めて行く場所でも、目的地を入力すれば公共交通機関を含めた複数ルートを教えてくれる専用アプリがとてつもなく便利だ。テニス会場でもあったローラン・ギャロス周辺まで来ると渋滞もすさまじかったが、五輪専用レーンを走れるシャトルなら心配無用。コースからメインプレスセンター(MPC)まで、メディアやボランティア用のシャトルを1回乗り継いで1時間ほどだった。 MPCは凱旋門のすぐ近くにあり、記者会見場や世界中のメディアの記者やカメラマンの作業スペースがある巨大施設。APやロイター、共同、時事といった通信社をはじめ、大量の記者、カメラマンを投入している媒体には専用ブースが設けられ、ここを基点に各種競技の取材に向かうらしい。
近場の取材ならレンタルサイクルも機動力があって便利なのだとか。アパートとコースを往復し続けたGDO取材陣と違い、毎日のように違う競技会場へ向かったり、1日のうちに複数会場をはしごしたりするケースもあると聞いた。ゴルフも男子の松山英樹と女子の山下美夢有がメダル争いに絡み、最終日だけ日本メディアの数は数倍に膨れ上がっていたが、取材を終えるとすぐ別の会場へ向かう人も少なくなかった。 パスと一緒にもらったものの、コース一択のゴルフ取材ではまず使う機会のなかったパリ市内の地下鉄や路面電車に無料で乗れるトラベルカードで凱旋門からエッフェル塔へ。ビーチバレー会場として仮設のスタジアムが作られていた周辺は規制が一段と厳しく、歩道が“渋滞”している状態。ゴルフの取材パスでは規制の前に“無力”で、動き回ることも難しかった。
メディアの取材が快適になっている一方、こうして会場近くでは規制によってパリ市民の日常生活がかなり不便になっていたことは容易に想像できる。わずか数時間の中心部滞在でも、そう実感した。(フランス・パリ/亀山泰宏)