仲間やライバルと切磋琢磨…翼くんと同じ発想持っていた 『キャプテン翼』の漫画家・高橋陽一さん サッカー大国の魁 14代田邊五兵衛の生涯<番外編・下>
世界的な人気を誇る『キャプテン翼』を通してサッカーの素晴らしさを国内外に発信し続けてきた漫画家、高橋陽一は、4月4日発売の雑誌『キャプテン翼マガジンvol.20』をもって44年の漫画家生活にひと区切りをつけた。『キャプテン翼』の漫画としての連載は終了し、今後はネーム(鉛筆での下描き)形式の続編を公式サイトで発表していく。東京・葛飾区内の仕事場で、インタビューに応じた。(敬称略) 【写真】色紙にサインと大空翼くんの似顔絵を描く高橋陽一さん ――『キャプテン翼』の世界観に日本のサッカーが追い付いてきたといわれる 高橋 「漫画の中で日本が強くなってほしいという思いで描いてきた部分がある。Jリーグができてからの日本のサッカーは、速いスピードで発展し続けている印象はある」 ――選手もだが、指導者も成長してきているように思う 高橋 「素晴らしい指導者が生まれたからこそ、日本サッカーは地力をつけてきたのかなと思う。できれば、世界のビッグクラブで指揮を執るような日本人の監督が出てきてくれたら、日本のサッカーはさらに発展するんじゃないかという気がしている」 ――14代田邊五兵衛は田辺製薬(現・田辺三菱製薬)を90戦無敗の強豪チームに育て、それに対抗するチームが現れることで日本のレベルが上がると考えていた 高橋 「主人公の(大空)翼くんは天才サッカー選手で、彼に追いつこうとか勝ってやろうという気持ちで、(ライバルやチームメートら)周りのみんながうまくなる。そこから(翼くんや仲間たちがプレーする)日本代表も強くなるストーリーを描いてきたので、同じような発想かなと思う」 ――『キャプテン翼』を描き始めたころは、Jリーグ誕生前。つまり、日本にはプロリーグがなかった 高橋 「だから翼くんもサッカーのプロになるのであれば、絶対に海外に行かなきゃいけなかった。当時だと水島武蔵選手がサンパウロ(ブラジル)でプレーしていた。参考にというか、プロになるにはそういうルートが必要かな、という感じを持っていた」 ――漫画を見てサッカーを始めた子供たちも多い