仲間やライバルと切磋琢磨…翼くんと同じ発想持っていた 『キャプテン翼』の漫画家・高橋陽一さん サッカー大国の魁 14代田邊五兵衛の生涯<番外編・下>
高橋 「漫画は心の機微を出させるというか…。見ることで自分もやってみたいと思ってもらえるコンテンツだと思う。読んでくれる人の心に響き、主人公のように頑張ろうと思ってもらうのが描いている意味だと思う。サッカーをしたいとか、翼くんみたいになりたいと思ってくれたとしたらすごくうれしい」
――子供たちにはサッカーをどう楽しんでもらいたいか
高橋 「サッカーはすごく自由なスポーツ。ボール1個あれば、何をしてもいい。自分やチームのプレーを自由に表現できる場所だと思う。そういう部分を楽しんでプレーしてもらいたい」
――これからのサッカーの発展を考えると、やはり普及や育成は大切
高橋 「礎は子供のころからのものだと思う。そこできちんとした指導を受けるのは大事なこと。今はJリーグの各クラブが必ずアカデミー(育成組織)を保有しなければならなくなっている。それはすごくいいことだと思う」
――そういうところから海外に羽ばたく選手も増えている。たとえば、日本代表で活躍する久保建英選手(レアル・ソシエダード)は10歳でスペインの強豪、FCバルセロナの育成組織に入団した
高橋 「素晴らしいことだと思う。翼くんは中学を卒業して海外(ブラジル)に行った。久保くんは翼くんを超え、小学生のときに日本を飛び出した。そういう世界が当たり前になると思うとすごいことだ」
――それを踏まえ、日本サッカーの未来をどう予測しているのか
高橋 「日本のサッカーのレベルが上がれば海外に出る必要もなくなる。日本の中で、すごい選手が生まれるシステムや環境ができればいいと思う。僕が最初にサッカーを好きになったのは1978年のW杯。初めから僕の場合は世界のサッカーがスタンダードだった。日本がW杯に出場できる時代が来ればいい、との思いで描いていた。今は1次リーグを突破して決勝トーナメントに行けるようになっている。ベスト8、ベスト4、決勝の舞台に立つ姿を見たい」