新型ミニ・エースマンに乗れば、楽しい世界が待っている理由とは
乗り味良好
先述のとおり、トルクが330Nmもあるので、力不足感はまったくない。速度を上げていくとき、耳慣れない独自の電子音で気分を盛り立ててくれるが、それはご愛敬としても、スムーズに速度が上がっていく様子は痛快。 ミニはずっとゴーカートフィーリングをキャラクターの中心にすえてきた(クルマ好きはご存知のとおり)。クイックなステアリングと車体のロールを抑えた設定をゴーカートに例えていた。 このところ、ミニの標準モデル(JCWでないモデル)は、そのキャラクターが薄められて、ステアリングスピードはややゆっくりとなって、同時に車体も適度にロールするようになった。エースマンも同様で、私はとても好ましく感じられた。狙っているマーケットにも合っていると思う。 もうひとつ、カントリーマンで感心したのは、乗り心地の良さ。フラットライドだし、コペンハーゲン郊外の道では速度を落とさせるハンプなるコブが道路に設置されているのだが、それを超えるときも、衝撃をきれいに吸収してくれる。カントリーマンもよかった(クーパー未体験)ので、エースマンもその美点をもっている。 175cm超の乗員が4人乗っても窮屈な印象はないし、後席も乗り心地がいいし、風がルーフを叩いたりする騒音も低い。以前のミニは後席が窮屈だったけれど、もはや過去の話になったのだ。 エースマンの総じての印象は、乗っていて、カラダになじむクルマだ。車名の由来について、プロダクトマネージャーとして今回のモデルのまとめ役をはたしたジャッキ・フランソワは「エース級の存在だから」と、話していた。ボディサイズからして、少なくとも日本ではたしかにミニのエースになるかもしれない。 価格は、エースマンEが¥4,910,000、エースマンS」が¥5,560,000。給電機能も備えている。国のCEV補助金、自治体のZEV補助金、メーカー上乗せ金額(さらに自動車税や自動車重量税の減免)などを受けられるので、価格競争力が高くなる。
文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)