新型ミニ・エースマンに乗れば、楽しい世界が待っている理由とは
新たに登場したミニ「エースマン」に、小川フミオがひと足はやく、デンマークで乗った! 【写真を見る】新型ミニ・エースマンの内外装など(99枚)
良きデザイン
ミニが2024年6月にエースマンなる新型車を発表。注目点は、コンパクトな車体サイズと、ピュア電動のドライブトレイン、それに心おどるデザインだ。9月下旬にメディア向け試乗会がコペンハーゲンで開催された。期待以上にバランスのよいクルマで、好印象だった。 ミニ・エースマンは、2605mmのホイールベースをもつシャシーにモーターを搭載した前輪駆動。ボディサイズは全長4080mm、全幅1755mm、全高1515mmだ。 “新世代”とされる「ミニ・クーパー」と「ミニ・カントリーマン」の中間にある。ミニクーパーE3ドアは全長3860mm、ホイールベース2525mm。これより大きく、全長4445mm、全高1640mm、ホイールベース2690mmのミニカントリーマンEより小ぶりにまとまっている。タワー式駐車場にも入れられる都市型のモデルといえる。 エースマンには「E」と「SE」が設定されている。秋が深まりつつあるコペンハーゲンで私が乗ったのは、バッテリー容量がより大きく、一充電あたりの航続距離が長い「エースマンSE」だ。 エースマンSEのバッテリー容量は54.2kWhで、Eは42.5kWh。日本における一充電走行距離の認可値は414kmで、Eは327kmだ。パワーもSEが最高出力160kW、最大トルク330Nmであるのに対して、Eは135kWと290Nmとやや控え目。 実車は、写真よりクオリティが高く、印象的だった。写真では、ヘッドランプやリアコンビネーションランプの輪郭や、キャラクターラインを排したボディパネルなどで、すこしオモチャっぽいかわいらしさを想像していた。 実車は、ところが、もっと“自動車”だ。リヤクオーターパネルを少ししぼったことで、リヤフェンダーのふくらみが強調されていて、とくに後方からの眺めでは力強さを感じさせる。いい感じのアグレッシブさを備えていて、クルマ好きなら魅力的に感じるはず。 内装は素材も色も、他に類がないほどユニーク。「触感も重要視しました」と、BMWで内装デザインのヘッドを務めたあと、2017年からミニのデザインを統括してきたオリバー・ハイルマーの言葉どおり、スニーカーから着想を得たというざっくりした雰囲気のファブリックが全体に使われている。 従来のコンパクトカーの常識を覆す、大胆というか、楽しい世界が広がる。ドアが開いたら、さっと乗り込んでみたいと思う人がいてもフシギでない。 運転席に腰を落ち着けると、眼の前にはグリップが太めの小径ステアリングホイールがあるだけで計器や操作類はほぼすべて、ダッシュボード中央にしつらえられた24cm径のタッチスクリーに集約されている。カントリーマンやクーパーと共通のテーマだ。 カントリーマンと比較すると、あちらはまだデザインテーマが徹底していない感じで、ダッシュボード上面は黒い合成樹脂むきだし。ドアの内張に目をやっても、オーディオスピーカーの取り付け位置もやや即物的な印象がまぬがれない。エースマンは、はるかに統一したイメージで仕立てられている。 ドライブモードがいくつも切り替えられるようになっていて、それぞれに対応した色の照明の使い方も同様。 たとえばスポーツにあたる「ゴーカート」モードだと赤。ダッシュボードやドアの内張りのみならずルーフの一部にもその色の照明が光る。カントリーマンでの試みがさらに推し進めされている。