ゲーム会社なのに投資の運用益は驚異の172億円…!《投資の天才》1600億円を運用するコーエーテクモ襟川恵子会長が稼ぎまくった「意外な投資商品」
個別株では儲かっていない…?
図1にもあったように2024年3月期におけるコーエーテクモHDの営業外収支は172億円のプラスです。この収支の内訳を滝チャートで表現すると図表4のようになります。 図表4の滝チャートからわかることとして、コーエーテクモHDの営業外収支172億円の特徴は3つあげられます(ここではざっくり営業外収支を運用益として考えています)。 第一に、営業外収支として172億円のプラスはあるものの、これは収益と費用の差額であり、すべての投資がうまくいっているわけではないということです。実際、2024年3月期においては、営業外収益だけで357億円を稼いでいます。この金額はコーエーテクモHDの同期における営業利益285億円を25%も上回っています。一方で、営業外費用として185億円の損失も計上をしています。 結果として172億円の営業外収支となっているのです。 第二に、営業外収益における稼ぎ頭は「受取利息」ということです。資産運用と聞いた場合、多くの人は株式投資をイメージするのではないでしょうか。実際、筆者もコーエーテクモHDの営業外収支が大きい理由は、株式投資でのリターンが大きいからだと思っていました。 しかしながら、事実としては、受取利息146億円は、投資有価証券売却益、いわゆるキャピタルゲイン99億円を大きく上回っています。他にもデリバティブ評価益89億円があり、デリバティブでもリターンを得ていることがわかります。 ちなみに、デリバティブは「金融派生商品」とも言われ、株価や為替レートなど、ある特定の金融商品(原資産)の値動きに連動するように設計された商品のことを言います。たとえば、株や債券の「先物」や「オプション」がこれにあたります。 第三に、実はキャピタルゲインではあまりリターンを得られていないということです。図表4にあるように、投資有価証券売却益で99億円の営業外収益を得ている一方で、投資有価証券売却損で90億円の損失を出しています。 つまり、ネット(純額)での有価証券売却損益はわずか9億円なのです。これは、営業外収支172億円のわずか5%ほどです。つまり、2024年3月期におけるコーエーテクモHDの営業外収支の稼ぎ頭は、有価証券の売買で得られるキャピタルゲインではなく、受取利息という「インカムゲイン」なのです。 では、受取利息がメインの収益となっているコーエーテクモHDの投資ポートフォリオはどうなっているのでしょうか。 後編〈投資の運用益「172億円」を生み出す“特異な手法”を公開…!《投資の天才》コーエーテクモ襟川恵子会長「爆益の秘密」〉では、襟川会長の投資術にさらに迫っていきます。
村上 茂久(株式会社ファインディールズ 代表取締役)