企業の「連鎖倒産」、2023年度は287件発生 2年前から6割増
テックコーポレーション関連で大規模な連鎖倒産が発生
グループ企業や取引先企業の倒産が引き金となった連鎖倒産が増加している。 2023年度の連鎖倒産は287件となり、2022年度(252件)から13.9%増加、2021年度(178件)と比べると61.2%増加した。増加の背景には、コロナ禍での市場の硬直化により、新規取引や新市場の開拓が進まない企業が増えたことがある。加えて、原材料価格の高騰や人件費の増加などで収益性が悪化するなかでも価格転嫁が進まず、厳しい資金繰りが続いている状況があり、取引依存度の高い企業の倒産が大打撃となるケースが増えている。 そうしたなか、コンプライアンス問題を機とした(株)テックコーポレーション(広島、3月破産、負債約191億円)の連鎖倒産が続いている。(株)テックコーポレーションは、電解水生成装置などの環境関連製品の製造販売を手がけ、商流は代理店方式で、代理店が病院や食品工場、飲食店などのエンドユーザーに販売していた。しかし、一部の商流において、当社が代理店を介さずにエンドユーザーと直接契約するケースがあり、実態はユーザーのいないキャッチボール取引(循環取引の一種)の可能性が指摘されている。 2024年4月には同社に連鎖して丸信工業(株)や(株)中屋興業が連鎖倒産した。また、同社に連鎖して自己破産申請の準備に入っている企業も複数あるなど、連鎖倒産は10社を超える見通しだ。キャッチボール取引となると、売りと買いの双方の取引がある先が疑わしいが、それに該当する企業は約30社が確認されている。当面は、売り買い双方の取引があり、多額の不良債権が発生した企業の動向が注目される。