インナーダウンという着こなしをジャンルへと変えたブランド「TAION(タイオン)」
これが初年度から4万枚を売り上げ、ブランドスタートとして話題となりました」
海外進出も視野に入れたTAION=「体温」という日本語のブランド名
つぎにTAIONというブランド名について聞いてみると、そこにはブランドスタート当時から海外展開を見据えていたというエピソードがあった。
「TAIONというブランド名は日本語の『体温』を意味しているのですが、アメリカ、中国、EU圏で展示会を開催していて、ブランドスタート当時から世界のマーケットを視野に入れていたので、世界へ日本をアピールするために日本語のブランド名がいいという発想は最初からありました。 2018年のお話なのですが、パリの有名セレクトショップ『Merci(メルシー)』のポップアップスペースをまるごと使わせてもらってポップアップショップを開催したりと、初期のころからさまざまな国でTAIONを展開していこうというビジョンが出来上がっていました。 いまでは、日本よりも海外の方がTAIONのアイテムになじみのある人が多いかもしれません。そういう状況になるとなおさらTAION=体温という日本語のブランド名の重要性が生きてくると思っています」
羽毛とナイロンについて
ここからはTAIONのもの作りに迫っていきたい。羽毛のことや生地のことなど、インナーダウンウエアならではのデザインアプローチがあるという。引き続きお話を伺っていこう。
「まずダウンですが、95%ダウン、5%フェザーの800フィルパワー[1]のものを使っています。 アウトドアブランドのダウンでも700フィルパワーのもので十分といわれていますが、インナーダウンとして薄手のダウンでも多く空気を含み高いパフォーマンスを発揮するために800フィルパワーのものを使っています。 また反発力が高く、空気を多く含むことができる品質の高いダウンは少ない量でも暖かいので、その分軽量化に繋がります。これはインナーダウンウエアを作るうえではかなり重要なことです。
ナイロンに関しては“400T”という高密度を表す単位のナイロンにコーティングを施したものを使っています。 そしてTAIONではダイヤ型、スクエア型、ひょうたん型とキルティングの形もラインによってさまざまなバリエーションを作っているのですが、縫い目から羽根が出づらいように糸もまた高密度に作られたものを使っています」