クラシカルな「2本ショック」は絶滅寸前!? やっぱり「モノショック」の方が高性能なの?
スイングアーム式の2本ショックで乗り心地が向上
バイクが世に出た1900年代初頭からしばらくは、路面からの衝撃を吸収するサスペンションは装備していませんでした。そして現在のような「スイングアーム方式」のリアサスペンションを初めて装備したのが、1955年のBMW(R27、R50、R69など)の車両で、車両の両側とスイングアームの間に2本のショックユニットを備えていました。 【画像】カッコよすぎ!これが「2本ショック」バイクです。(25枚)
それから世界中のスポーツバイクがスイングアーム&2本ショックのリアサスペンションを採用しました。人気の旧車、ホンダ「CB750FOUR」やカワサキ「Z1」はもちろん、1980年代後半から盛り上がったネイキッドモデルや、“アメリカン”と呼ばれたクルーザー系、そして近年流行のクラシック系も、2本ショックを装備する車両は少なくありません。
意外と古い、モノショックの登場
ところが、1970年代初頭に大きな変化が訪れます。オフロードで闘うモトクロスレースでは、路面のギャップを乗り越え走破性を高めるために、長いホイールトラベル(サスペンションのストローク量)が必要で、当時はどんどんショックユニットの全長が長くなっていました。とはいえバイクのレイアウト上、またライダーの体格的にも、ショックの長さは限界を迎えていました。
そこで、ヤマハが取り入れたのが「モノクロスサスペンション」です。トライアングル状のスイングアームから、エンジンの上を通ってステアリングヘッドに届くくらい長い1本のショックユニットを持つ構造です。モトクロスレースで圧倒的な性能を収めたことから「空飛ぶサスペンション」と呼ばれ、この構造をロードレースにも転用したところやはり好調で、市販車にも装備が始まりました。 そしてヤマハのモノクロスサスペンションに対抗して、ホンダがモトクロスレースで開発を進めたのが、1本ショックにリンク機構を組み合わせた「プロリンク・サスペンション」です。 市販バイクで最初に投入したのが、現在も大人気の「CBX400F」(1981年)と、同年発売のオフロードモデル「XL250R」です。 そして同時期にカワサキが「ユニトラック」、スズキが「フルフローター」という名称でリンク式のモノショックを発表し、オン/オフ問わず多くのスポーツモデルが続々と採用しました。そしてヤマハも1983年頃にはリンク式の新型モノクロスサスペンションになっています。