パリ五輪で見えてきた『4つの課題』誤審・誹謗中傷・性別・紛争 SNSによる“選手への攻撃”に専門家「スポーツは『結果が全てではない』の理解を」
パリオリンピック™が閉幕しました。大変な盛り上がりを見せた一方で、誤審があったのではないかと物議を醸したり、選手への誹謗中傷があったりなど、様々な“課題”が明るみになった今大会。それらの課題や次の2028年・ロス大会の見どころなどについて、環太平洋大学・体育学部の真田久教授への取材などをもとに情報をまとめました。 【画像を見る】ミスをした選手への『SNSの誹謗中傷』が今大会で問題に…JOCは「法的措置を検討」
【課題1 誤審】機械化が進む判定…将来は“ロボット審判”も誕生!?
今回のオリンピックで浮き彫りになった4つの課題。まずは『誤審問題』、審判の正確性をどうするかについてです。年々、VTR判定などが導入されつつあり、競技によって様々な工夫がなされています。 例えばアーティスティックスイミングでは競技を円滑に進めるため、抗議を有料(1回につき約8万円)にし、抗議が認められた場合は返金される仕組みが導入されています。また、体操競技の国際大会では、“AIでの採点”も導入されています。機械化が進み、正確性や公平性が進む一方で、もしかすると将来的には“ロボット審判”が誕生することがあるかもしれません。
【課題2 誹謗中傷】JOCは「法的措置も検討」
次は『SNSでの誹謗中傷問題』です。今大会ではミスした選手を攻めるような投稿があり、JOC(日本オリンピック委員会)からは、選手らへの侮辱や脅迫など悪質な投稿について「法的措置も検討」というメッセージが出されました。中国では、卓球選手らを誹謗中傷したとして29歳の女を特定し、拘束しています。 こうした選手への誹謗中傷をめぐって、過去には、サッカーのワールドカップに出場した南米の選手が帰国後に殺害されるという悲劇も起きています。 SNSによる誹謗中傷の問題については、「選手はSNSの利用を控えるべきでは」という意見や、「プラットフォーム側が規制すべき」という意見などさまざまあります。環太平洋大学・体育学部の真田久教授は、「スポーツは結果を求めるが、結果が全てではない」と理解することが大切と指摘。特にオリンピズムとして考えたときに「結果だけではない」ということを理解すると、非難したい気持ちに変化が出るはずだと述べています。