映画「ホテル・ルワンダ」の舞台に不法移民を送り込む…英国の計画に物議 安住できるか?大虐殺乗り越え「奇跡」の復興遂げた国の実情とは
ツインルームが50部屋あり、約100人を収容できる。吹き抜けの構造で日当たりがよく、イスラム教の礼拝室のほか、医務室やサッカー場なども備えている。「快適に過ごせるよう、万全の準備を整えている」。手入れや掃除の行き届いた施設を案内しながら、運営責任者のバキナ・イスマイルさんが胸を張った。維持費は英政府が支出しているという。 ルワンダはこれまで、近隣のブルンジやコンゴ(旧ザイール)などから約13万人の難民を受け入れてきた。政府当局者らは、民族対立に伴う大虐殺の痛みが難民支援の根底にあると語る。 2019年にはUNHCRなどと協力して人道支援メカニズムを立ち上げ、ルワンダ南東部ガショラの難民キャンプで、密航業者らが暗躍するリビアから移送されてきた難民の欧州への再定住支援にも取り組んでいる。 UNHCRのグレース・アティムさんによると、キャンプには約700人が身を寄せ、1日3回の食事のほか、生活に必要な物資や現金などが支給される。難民認定の審査や再定住先の調整をUNHCRが担い、難民たちは審査や受け入れ先の決定を待つ間、語学や職業訓練などの支援も受けられる。
「やっと安全を感じられる」。祖国エチオピアから逃れてきたイェシアレムさん(26)が生後8カ月の娘ソリヤナちゃんを抱きながらほほえんだ。エチオピアを出た後、スーダンで誘拐され、拘束先のリビアで倉庫に数カ月間も監禁されて「何度もレイプされた」という。夫とは離れ離れになり、定住希望先もどこにするかまだ何も決めていないが、「人生に希望を持てるようになった」とうれしそうに話した。 取材に訪れた日も、複数の難民たちがスーツケースや荷物を手にキャンプを旅立っていった。「カナダに向かうんだ」。1人の若い男性が晴れやかな表情で手を振り、ワゴン車に乗り込んだ。 また大学では、2023年4月から戦闘が続くスーダンから逃れてきた医学生たちを受け入れ、学業継続の支援をしている。南部フイエにあるルワンダ大の医学部で学ぶアルワ・アブドゥラヒムさん(18)は「安心して勉強が続けられて幸せだ」と支援に感謝した。 ▽責任転嫁…英国に厳しい目