ビル・ゲイツは幸運に恵まれた人か?成功のカギは「運の利益率」
大切なのは「運の利益率」
しかし、もっと重要なのは、巡ってきた幸運をどのように生かすか? なのです。 『Good to Great(邦題:ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則)』の著者、ジム・コリンズはこれを「運の利益率」と呼んでいます。 著書『Great by Choice(邦題:ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる)』の執筆過程で、コリンズは、優れた企業が平凡な企業より運が良いわけではなく、「運のいい出来事」が多いわけでもないことを発見しました。 コリンズはこのように書いています。 分析を通じて、私たちは運と結果を非常に慎重に区別しました。企業は不運に見舞われながらも良い結果を生むことができます。逆に、幸運を無駄にして悪い結果を招くこともあります…。 10X型企業のケースと、比較対象のケースの両方が、同程度の量の幸運と不運を得ていました。その証拠から、運が10X型企業の成功を引き起こすわけではないと結論づけられます。しかし、人は運から10倍の成功を引き起こすことができます。 重要な問いは「運が良いか?」ではなく、「運の利益率が高いか?」です。 ゲイツだけが幸運だったわけではない コリンズから見れば、ゲイツは確かに幸運でした。 しかし、ゲイツだけがその時代に上級中産階級のアメリカの家族で育ったわけではありません。彼だけがコンピューターにアクセスできる学校に通っていたわけでもありません。彼とアレンだけが『Popular Electronics 』の記事を読んでいたわけではありません。 彼だけがBASICでプログラムを書くことができたわけでもありません。 実際、彼は電気工学やコンピュータサイエンスの分野での修士号や博士号を持つほかの学生や、社会人のプロフェッショナルたちと比べ、スキルも経験も少なかったのです。 ゲイツは幸運だったことは間違いありません。 しかし、重要なのは彼がその運をどのように活用したか、彼の「運の利益率」でした。 コリンズはこう書いています。 …単なる偶然の幸運だけで持続的な成果を上げた例は1つも見つかっていません。ただ、私たちはこれまで、運に恵まれない偉大な企業を研究したことがないことも事実です。 研究証拠は、どちらの極端な見解、すなわち「すべて運」または「運は全く関係ない」も支持していません。 データと適合性がはるかに高いのは、「運の利益率」という統合的な概念です。 ゲイツは自分の運を生かすことをしたのです(当時はおそらく運という観点で考えていたわけではなく、彼の人生は彼の人生であり、運の役割に気づいたのはあとになってからだったでしょう)。 要するに、彼はそのチャンスを逃さないために行動することを決めたのです。 数百万ではなくとも、たしかに何千人もの人々が、当時新興だったパーソナルコンピュータ事業向けソフトウェア開発に着手することができたのです。しかし、ほかの誰も実際にはそうしませんでした。 運は受動的なものであり、あなたに起こるものです。ゲイツは運を経験しましたが、もっと重要なのは、彼がその運をどのように生かしたかです。 運の利益率は能動的です。なぜなら、運をものにできるかどうかは、あなたにかかっているから。 Source: Amaozn(1, 2, 3), ScienceDirect, World Bank Document, Originally published by Inc. [原文] Copyright © 2024 Mansueto Ventures LLC.
真栄田若菜/OCiETe