敗北に悔しさをあらわにする阿部（白）(C)REUTERS／AFLO

　パリ五輪柔道競技の男女混合団体戦が現地８月３日に行なわれ、日本代表は決勝戦でフランス代表と対戦し敗北。銀メダルに輝いたものの東京五輪での雪辱を果たすことはできなかった。 【画像】東京大会に続きフランスに敗れるも堂々の銀メダル！パリの畳で激闘を繰り広げた柔道混合団体を特集！ 　日本は男女混合団体戦で世界選手権７連覇している“最強国”と知られている。一方で五輪では前回東京大会で初めて実施され、地元開催で“金確実”と言われながら、初代王者はフランス代表に譲る屈辱を味わった。日本代表としては今回逆にフランスの母国で柔道発祥国の意地を見せられるかに注目が集まっていた。 　初戦となった２回戦、スペイン代表との試合では57キロ級で阿部詩、70キロ級で高市未来、90キロ級で村尾三四郎が勝利を収めるも３－３と並ばれ、70キロ級の再戦となった代表戦で高市が勝利。初戦から厳しい戦いを強いられた。一方メンバーを変更し臨んだ準々決勝はセルビア代表相手に阿部一二三をはじめ新添左季、永瀬貴規、ウルフ・アロンが勝利。準決勝は東京五輪銅メダルのドイツ代表にストレート勝ちとまさに上り調子で決勝に進出した。 　そして迎えた決勝戦。相手は東京五輪決勝、日本武道館で敗れたフランス。初戦90キロ級は村尾が個人戦からの好調そのままに勝利を収めると、70キロ超級では個人78キロ級の高山莉加が登録121キロの銅メダリスト、ロマヌ・ディコから大内刈りで技ありを奪い重量級のトップ選手相手に大金星を飾った。 　その後男子90キロ超級では、個人100キロ超級の斉藤立が“世界最強”のテディ・リネールと延長戦にもつれる攻防を繰り広げるも敗北。その後女子57キロ級では個人同階級銅メダリストのサラレオニー・シジクに個人48キロ級の角田夏実が挑み“必殺技”の巴投げを決め一本勝ち。金メダルに王手をかけた。 　そして迎えた男子73キロ級は個人同階級銀メダリストのジョアンベンジャミン・ギャバに対し日本は個人66キロ級金メダリストの阿部一二三で勝負に出た。序盤からギャバの組み合わない柔道にも冷静に対応しギャバに２つ目の指導を与えると試合は延長に。重量で劣る阿部が終始技を出し続け圧倒する展開だったが本戦含め８分52秒、ギャバのすくい投げが決まり敗れた。 　王手をかけ舞台は揃ったというところからの敗北。これで勢いを取り戻したフランスは６戦目で銅メダリストのクラリス・アグベニューが延長戦で高市未来から外巻き込みで技ありが決まり、敗北。１－３から同点に追いついた。 　そして運命の代表戦は90キロ超級に決定。斉藤が再びリネールにゴールデンスコア形式で挑み両者指導が２つ入るなどまさに“極限状態”での名試合を繰り広げたが、リネールの大内刈りに斉藤が対応しきれず敗北。あと１勝というところからの３連敗で王座奪還を逃した。 　決着直後には涙を流し、試合後のインタビューでは「みんなが繋いでくれた良い流れ良いバトンだったのにそこをものにできずに申し訳ない気持ちでいっぱいです」と話した阿部一二三。重量で劣る中での健闘を称えるインタビュアーの言葉にも「あそこで勝ち切らないと意味がないと思うので本当に悔しい気持ちでいっぱいです」と語った。 　２度目の出場となった今回のパリ大会で五輪での初の敗北を経験した阿部一二三（東京五輪団体戦は登録のみ）。表彰台後のインタビューでは「うれしい気持ちも悔しい気持ちも両方味わえた何物にも代えられないオリンピックになったと思います」と改めて回顧。「今日の負けっていうので、多分みんながもっとびっくりするくらい僕は強くなると思うので、今後の阿部一二三にもっともっと期待してもらえたらなと思います！」と今後の飛躍に自信を見せた。 構成●THE DIGEST編集部