夜間のタクシーが無くなった街 飲食店のピンチに応えて 全国初・自家用車を使ったデマンドバス運行の取り組みに迫る 広島・庄原市
■客 「私は家がちょっと遠いので、なかなか飲みに出る機会というのは少なくなったと思います。(家の)すごい近くまで行ってくれるので助かります」 飲食店にいたこちらの男性、オンデマンドバスを使ってみようと、街にお酒を飲みに出てきたそうです。午後8時、備後庄原駅の前から出発する初めての便に乗り込みます。 オンデマンドバスは、路線バスのような特定のルートは決まっていません。乗客が、乗りたい場所と降りたい場所を決めてWEBサイトや電話で予約。バスは予約を元にその時々で最適なルートを運行します。 ■バスの利用客 「よるくるができて、夜も出やすくなったのかなという感じは受けました。今まで歩いて帰らなければならなかったところを、こういった形で乗って帰れるというのは非常にありがたいと思います」 乗客のなかには飲み会の帰りの利用者だけではなく、高校生の姿もみられました。 ■バスの利用客(高校生) 「(これまでは)車で送ってもらっていました。送迎がないと塾に通うのが難しいので、ありがたいです」 運行初日となったこの日、あわせて11人が乗車しました。 ■初便を担当した 稲垣匡彦 運転手 「このまま私たちが行動を起こしていなければ、庄原の街の灯りがひとつふたつ消えていくっていうのは地元としてくやしい。また、別な意味では例えば飲酒運転が増えたりとか、そのようなことも防いでいかなければならないと思っておりますし、そのようなところで今回の実験が役に立てばいいなと思っております」 地域の夜の足を守る新たな取り組みは、12月13日までの毎週木曜日と金曜日に行われます。 ◆庄原の夜の街を走る「よるくる」についてのおさらい ・運行時間…午後8時から午後10時40分まで。1日5便の運行 ・乗るためには…出発の40分前までにWEBサイトか電話で予約が必要 ・運賃…距離で異なり、500円から3000円 ◆そもそも、タクシー運転手不足の原因は? 広島県タクシー協会にうかがったところ、複数の要因があるものの、移動需要が減ったコロナ禍で大きく運転手の数が減少し、その後、回復できていないことが理由の1つとして挙げられるということです。
広島県B地区(広島市・廿日市市の一部と安芸郡4町以外のエリア)のタクシー運転手の数の推移を見ると、もともと微減傾向にありましたが、特に移動需要が減ったコロナ禍2020年3月からの1年間で190人以上が減少しました。 コロナ禍が明けて移動需要が戻っても、転職や退職したタクシー運転手は戻らず、需要に対して運転手の数が不足している状態だとみられています。
中国放送