【ABC特集】大阪・関西万博まであと約300日なのに・・・進まぬパビリオン建設 原因は人手不足や資材高騰だけじゃない!? “業者決まっていない”アルメニアの舞台裏
大阪関西万博の開幕まで1年を切りましたが、参加国が準備を進めるパビリオンの建設は、順調とは言えない状況です。なぜ建設が遅れているのか、その舞台裏を取材しました。 各国が独自に建物をデザインし建設する「タイプA」でパビリオンを建設するのは現在53ヵ国の予定です。しかし、そのうち14ヵ国はいまだ施工業者が決まっておらず(5月9日現在)、建設の遅れが課題の一つとなっています。
(大阪府・吉村洋文知事)「いろんな状況を見ると、タイプAは40前後になるだろうと思っている。今からゼロから進めるっていうのは、ちょっと難しいと」 複数の国でパビリオンの完成が開幕に間に合わない、もしくは撤退する可能性が高まっています。なぜ建設が遅れているのかを調べてみると、国内外の事情、さまざまな要因があることがわかりました。
理由はそれぞれの国と日本の両面にアリ
・各国の事情 参加を表明しているにもかかわらず施工業者が決まっていない国の1つアルメニアは、去年9月、アゼルバイジャンと係争地を巡って紛争になりました。この際、旧ソ連時代から後ろ盾になっていたロシアの平和維持部隊が機能しなかったことで、ロシアとの関係性が悪化しています。こうした周辺国との緊張関係が「万博に集中できない理由」の一つと言えます。 またインドでは、いま実施中の総選挙が、万博の準備に影響を与えているとみられます。 ・日本側の事情 建設ラッシュや「2024年問題」による資材や人手不足、そして物価高の問題。それに加え、タイプAパビリオンはサイズが大きいうえに、デザインも凝っているため、建設業者からは「今から建設を始めても間に合わない」という声があがっています。よって、建設を引き受ける業者がいない状況となっています。 また「万博協会のマネジメント力」も要因の一つに挙げられます。各国からは、万博協会がリーダーシップを持って建設遅れの問題にあたってほしい、という声がある一方で、協会は国・府・市・民間企業から出向者が集まる“寄り合い所帯”。それゆえに、責任の所在があいまいになったり、問題を認識・解決する力に欠けるという指摘があがっています。