難関中学に入学した子がなぜ不登校に? 教育熱心な母が後で気づいたその原因
かんしゃくを起こす、やる気を出さない、学校へ行かない。親を悩ませるこういった行動には、子どものどんな本音が隠れているのでしょうか? 【マンガ】男子高生が「5年の不登校」から抜け出せた本当の理由 育児・教育に悩むの多くの親をカウンセリングしてきた公認心理師の山下エミリさんは、心理学とワークを通して欲求を読み解き、その心に寄り添った子育てを説いています。 本記事では、山下エミリさんの著書より、中学受験合格後に不登校になった子のケースを紹介しつつ、子どもが安心できる親の関わり方を伝える一節を紹介します。 ※本稿は山下エミリ著『お母さんには言えない 子どもの「本当は欲しい」がわかる本 』(青春出版社)より一部抜粋・編集したものです
難関中学合格後になぜ?
「何やってるの!」「なんで、まだ準備できてないの!」「どうしてテストの点数がこんなに悪いの!」「これじゃ合格できないでしょ!」 中学受験を控えた小学生のお子さんがいらっしゃるMさんのご家庭では、お母さんが毎日ガミガミしていたそうです。 「自分のガミガミにさらに火がついてもう止められない状態だった」。そう振り返った受講生のMさん。お子さんは難関中学に合格したものの、やる気が見られず成績は下降の一途。そのことにまたガミガミするお母さん。お子さんはついに学校に行けなくなってしまいました。 安全欲求は安心・安全な暮らしへの欲求を指します。お母さんが気分次第でガミガミ怒っている家の中は、子どもにとっては、森の中で、いつ猛獣が出てくるかわからなくて、ビクビクしている状態と同じです。 そうなると、常に戦闘態勢をとり続けているようなものなので、疲れて動けなくなるのも無理ないのです。他にも、森の中で道に迷っていて不安でいっぱいの時に、一緒にいるお母さんが「大丈夫よ!」と安心できる存在であれば子どもは安心していられますが、ちょっとした物音にも、「きゃーっ!」と叫んでいたら、子どもはさらに不安になってしまいます。 家庭が安心できない状態なのですから、心が安らげませんよね。そして、そんな不安な環境にいると、勉強どころではないことはおわかりいただけるかと思います。家庭が安心・安全な環境になり、安全欲求が満たされると、不登校のお子さんも、ほとんどがすぐに学校に行けるようになります。 安全欲求は、生理的な欲求がある程度満たされたら湧き上がってくる、安心できる環境で生活したいという欲求です。つまり、安心や安全を感じられない時に湧いてくる欲求だからです。 お子さんの安全欲求を満たしてあげていないことに気づいて、Mさんが変わったら、お子さんは元気に学校に行けるようになりました。それだけでなく、意欲的に勉強もするようになりました。こうなるまでにMさんにどんな気づきがあったのでしょう。あなたの気づきになるように、その経緯をお伝えします。