大学生になったらたくさんアルバイトして、充実した生活を送りたいです。親から「稼ぐ額に気を付けて」と言われましたが、稼ぎすぎると負担が増えるのでしょうか? 負担といっても、大した額じゃありませんよね?
出典:国税庁 No.1180 扶養控除をもとに筆者作成 親に扶養されている多くの大学生は「特定扶養親族」に該当するため、親の収入から63万円を差し引くことができます。ただし、子どもが大学生かどうかは控除額に関係なく、あくまで年齢が基準であることに注意が必要です。例えば、大学生でも23歳であれば「一般の控除対象扶養親族」に該当し、控除額は38万円となります。 ■アルバイト収入が年間103万円を超えると、税法上の扶養から外れる 親の扶養控除対象となる人は、親と生計を一にしていて、年間の合計所得金額が48万円以下の人です。 収入がアルバイト収入のみの場合、合計所得金額から差し引くことのできる給与所得控除が55万円あります。アルバイトの年間収入が103万円以下であれば、給与所得控除を差し引いた合計所得金額は48万円以下となるため、親の所得税の計算上、扶養控除が適用できます。 アルバイトの年間収入103万円 - 給与所得控除額55万円 = 合計所得金額48万円 つまり、たくさん稼いでアルバイトの年間収入が103万円を超えると、親の税法上の扶養控除の対象から外れてしまうのです。 ■扶養控除が適用できないときの親の負担 親が納める所得税は、所得額に応じて、5%から45%まで段階的に高くなっていきます。所得が多い人ほど所得税率が高くなる仕組みを、「累進課税制度」といいます。例えば、国税庁の「所得税の速算表」によると、所得金額が195万円以上330万円未満であれば税率は10%、330万円以上695万円未満であれば税率は20%となります。 所得税の計算上、多くの大学生の年齢帯である「19歳以上23歳未満(特定扶養親族)」の扶養控除が適用できない場合は、親の所得に応じて適用される所得税率に特定扶養親族の控除額63万円を掛けた分だけ、親の税負担が増えることになります。 図表3は、親の所得税率が10%と20%の場合で、扶養から外れたときにそれぞれどのくらい税負担が増えるかを計算したものです。 図表3