【元公務員が解説】住民税非課税世帯への給付金、実は高齢者が多いって本当?70歳代が占める割合や給付条件を紹介
2024年5月16日に内閣府が発表した1月~3月期の実質GDPは年率2.0%の減少でした。 【70歳代の貯蓄額を円グラフで見る】住民税非課税世帯とは?70歳代のリアルな貯蓄事情を図表でチェック 経済は依然として停滞したままで、暮らしがよくなる感覚はいまだにありません。 そのなかで、最大10万円が給付される「住民税非課税世帯給付金」は家計の負担を緩和する役割が期待されます。 しかし、給付金対象となる「住民税非課税世帯」はほとんどが高齢者世帯です。 なぜ高齢者世帯には住民税がかからない世帯が多いのでしょうか。 この記事では、高齢者世帯が住民税非課税世帯の多くを占める理由を解説します。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「住民税非課税世帯」への給付金の概要
住民税非課税世帯の給付金概要は以下のとおりです。 住民税非課税世帯とは、生計を共にしている人全員が住民税のかからない世帯を指します。 ただし、住民税の均等割のみ課税されている世帯も住民税非課税世帯給付金の対象です。 住民税は、所得割と均等割で構成されます。所得割と均等割の定義は、以下のとおりです。 ・所得割:所得に対して10%の税率がかかる ・均等割:所得にかかわらず一律5000円かかる どちらもかからなければ、住民税は非課税です。 「自分が給付対象かどうか」「給付金がもらえるのはいつか」といった具体的な相談は、住んでいる自治体に問い合わせましょう。
「住民税非課税世帯」の多くが高齢者世帯。一体なぜ?
令和4年国民生活基礎調査によれば、調査対象世帯1万世帯のうち、2424世帯が住民税非課税世帯です。 うち、65歳以上の高齢者世帯は約75%を占めています。 住民税非課税世帯に高齢者世帯が多い理由は、以下のとおりです。 ・収入源のほとんどが年金になる ・税制優遇を受けやすい 65歳以上になると、多くの人が勤めていた会社を退職して老後生活に入ります。 総務省の労働力調査によると、調査回答者5739万人のうち65歳以上で雇用されている人は543万人と1割を下回っています。 多くの人が退職し、年金生活を始めているといえるでしょう。 メインの収入源が年金のみになれば、働いていたときと比べて収入は減少します。 所得が減る分、住民税がかからない可能性が高くなるのです。 加えて、高齢者世帯は税制優遇を受けやすいです。例えば、所得額を下げられる所得控除をみてみましょう。 ・配偶者控除:夫婦世帯ならどちらか1人が控除を受けられる。 ・扶養控除:70歳以上なら控除額が増える。配偶者だけでなく同居親族にも控除が適用されるため、非課税世帯の条件を満たしやすい。 ・公的年金等控除:65歳以上であれば最低110万円の控除が適用される。控除額が大きく所得額を下げやすい。 公的年金等控除は給与所得控除よりも高くなるため、同じ収入額でも所得は低くなりやすいです。 そのため、住民税非課税世帯に該当しやすくなります。 高齢になると、収入が減ることによって貯蓄を取り崩しながら生活する世帯もでてきます。 現代のシニア世代はどれほど貯蓄で備えているのでしょうか。 次章では70歳代の貯蓄事情について解説していきます。